<「花咲舞が黙ってない」最終回>「銀行の大義」を貫いた小悪党を演じきった生瀬勝久は最終回にふさわしい


柴川淳一[郷土史家]

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2015年9月16日放送の日本テレビ系「花咲舞が黙ってない」の「最終回」を見た。

このシーズン2が放送されていた10週間、三ヶ月足らずは暑い夏だった。元銀行員の筆者としては、ドラマは毎回、面白く見ることができた。何年か経ったら、「この頃、毎週水曜日、夜十時から、日テレで『花咲舞が黙ってない』をよく見ていたなあ。」と懐かしく思うに違いない。

シーズン2で特に気になったキャストは真藤常務を演じるところの生瀬勝久である。生瀬勝久にはすっかり騙された。通りいっぺんの悪党、仇役を演じているとばかり思っていた。しかし、途中から「大義」を口にするようになった。「銀行のため」。

実際には、銀行内部でこの台詞を口にする人に幾人となく出会ったが、ほとんど偽者であった。「銀行のため」ではなく「己れのため」である。

だから、ドラマで「銀行のため」という「大義」を生瀬勝久演じる真藤常務が口にしても、それは単なるフェイクとしか思えなかった。真藤常務は第7話、第8話辺りから少しずつ変わって行く。悪党面が消えてだんだんといい顔つきになってくる。

「真藤派閥」と言われる子飼いの支店長たちの度重なる不祥事を、花咲舞と相馬健に次々と暴かれて白日の下に晒されてしまう。しかるに、切歯扼腕するかと思いきや悪事や犯罪を働いた真藤派閥の支店長達に向かって「君は間違っている。」「愚かなやつだ。」と庇うことなく断罪して行く。

涙を呑んで子飼いの部下達を切っていく。部下を査問に掛け、司直の手に委ねる。牙城を崩され憎いはずの臨店班の立場をも認めるようになる。全ては、「銀行のため」という「大義」の為である。

真藤常務が変貌したのか、それとも生瀬勝久の芸風が進化したのか、分からないが面白い。

最終回第11話のクライマックスは取締役会だ。真藤の口から飛び出した台詞は本編一番の名台詞だ。「銀行のため」という「大義」の為に男真藤が悪の黒幕、芹沢頭取に向かって噛み付いた台詞は、「お言葉を返すようですが!」だった。

ラストシーンは真藤が出向、都落ちの場面。見送る舞と相馬。「銀行のため」という「大義」を貫き、真藤は最終回で初めて真正面から花咲舞を認める。

それにしても、頭取が受け取った一億円の賄賂のマネーロンダリング(資金洗浄)に利用された苦悩と「大義を貫く」男・真藤を演じきった生瀬勝久の演技は最終回にふさわしい。

 

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柴川淳一

柴川淳一。郷土史家。1954年香川県生まれ。明治大学卒業後、地方銀行に37年間奉職。