<人の個性はデータベース化出来るのか?>イオン社員42万人を人事データベースで適性配置に違和感


水留章[(株)ドリマックス・テレビジョン 代表取締役社長]

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人事配置をする時に、個人の属性を考慮するのは当然で、それなくして異動も配置も出来る訳は無い。社員番号下一桁が偶数の人は関西本社、奇数の人は東京本社なんてことをしたら大混乱だ。入社年度などがわかる社員番号も十分な属性であるが。

イオンは全世界の主要関連会社90社の42万人のデータを整理して人びとの属性をしっかり把握して地域を超えた最適な人事配置を目指すということらしい。メリット例として海外現地採用社員の本社抜擢、パートの正社員化など。

文句は無いが、やはり異論はある。またまた「最適」「効率」「グローバル展開」だ。ウンザリは私だけであろうか? ひょっとしてイオンでなくて日経新聞の論調が気になるのかもしれない。

人の個性はデータベース化出来るのか? 記事によれば属性に例として特技、資格、海外勤務経験有無、業務評価………などを挙げている。項目はきっともっと沢山有るのだろうが、人間を判断するのに限界はあるだろう。

n角形のnを∞に近づければ円になると言うが、人間は円ではない。大体nを一万とか一億には出来ないだろう。せいぜい百どまりだろう。

優秀な現地採用契約社員の人が皆日本本社で働きたいと思っているのだろうか? 収入や昇格と都市への憧れだけで人生を決めるのだろうか? 企業に所属するということは、法を犯していない限り、企業のルールに従うのは当たり前だと言われれば詮ないことだが………

企業は社員の扶養者の数とか、同居人の数も気になるだろう。借り上げ社宅がワンルームか一戸建てかでは経費が違う。個人情報保護が進んだ現在では戸籍に載せない事実婚や(同性愛者かもしれない)表面化していない将来的な親の介護だってある。そんなものはデータベース化出来ないだろうし、しようとすれば企業内秘密警察が必要だ。

このデータベース完成の暁には御丁寧にも、管理職の評価基準も統一するという。立派なことだが、千人以上働く東京の事業所と数人で動かしている日本とは風俗も習慣も異なる地域の事務所では管理職の評価は同じであろうか?

勿論地域サイズによる変数は考慮するというのであろうが………そんな変数が統一化効率化を妨げているというのが設計の根本に有るのだから、やはり変だ。

こんな危惧が、企業の問題でなくグローバル化がと思っている節のある新聞の、バイアスのかかった記事である事を願うばかりの朝だ。

 

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水留章

水留章(みずとめ・あきら)1954年神奈川県出身。大学時代に野沢協氏の薫陶を受け、偉大な知性の存在に圧倒される。TBS入社後、制作で居作昌果氏に指導受け、仕事の肝要を教わる。その後編成、営業、人事、スポーツを経験、現在 (株)ドリマックス・テレビジョン代表。趣味…クロール、宝物…Gibson J45