<女性・交通違反・金・発言>鶴保庸介大臣は「問題の総合商社」

政治経済

両角敏明[テレビディレクター/プロデューサー]
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マルチに活躍する国会議員は何人もいますが、マルチに問題を起こす国会議員と言えばこの人でしょう。

お金の問題で疑惑のデパートとか総合商社とか呼ばれた方もいますが、この方は「女性」、「交通違反」、「お金」、「発言」と幅広く、さらにそれぞれの問題を繰り返しているという点からも、この方こそ問題のデパート、問題の総合商社と呼ぶべき方なのではないでしょうか。

その方は鶴保庸介参議院議員。かつて野田聖子さんのお相手として知られた方ですが、現在は内閣府特命担当大臣沖縄及び北方対策クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策宇宙政策)です。

まずは女性問題から。

鶴保氏は永田町のプレイボーイと言われたそうで、野田聖子議員との時も真偽はともかくほかの女性の存在や、野田氏に関する配慮に欠けた発言が取り沙汰されたことがありました。

今回はこの8月、複数の週刊誌に18才年下の一般女性とのトラブルを書かれました。その記事によれば鶴保氏の対応は奇妙で不誠実なものでした。

  • 女性が妊娠し入籍を求めたが拒否。
  • その後、婚姻届を出すから離婚届を書いて欲しい、と奇妙な要求。
  • 話し合いの結果、婚姻届は提出したが、二ヶ月後、女性が知らないうちに離婚届を提出。
  • 離婚成立後、約束した養育費月額8万円を1年で勝手にストップ。

こうした一連の鶴保氏の対応には女性に対するハラスメントのにおいがします。

交通違反を見てみます。

今年の7月に大阪市内の高速道路で制限速度を40キロもオーバーし道交法違反で捕まりました。書類送検、一発免停です。この方、2006年にも大阪市内の一般道で35キロオーバーというすごい違反がありました。もちろんこの時も一発免停です。

よくテレビの「警察24時~」などという番組でスピード違反取り締まりのシーンを視ますが、一発免停のケースはあまりありません。一発免停は一般道で30キロ、高速道路で40キロを越える速度超過ですから相当に悪質です。

それを二度も犯すという、まるで暴走族のごとき国会議員にはその順法精神が疑われます。国会議員とは法律を作る人のことを言うのですが。

2006年の免停時の反省コメントが日刊ゲンダイにありました。

「反省。反省。数年ぶりの交通違反。また襟を正さねば」

数年ぶりに襟を正すという立法府の議員さんはこれまで何回交通違反で捕まっているのでしょうか。「また」という言葉にこの方のいい加減さが滲んでいるようです。

【参考】<もはや北朝鮮>「安倍首相の所信表明演説」で海外も呆れる背広組の暴走

 さて問題はより深刻になってきます。お金の問題です。

この方、お金の問題もいろいろありまして、公選法違反問題、年金未納問題、政治活動費問題、違法献金問題とさすが問題のデパートか総合商社だけに品揃えは豊富です。

  • 公選法違反問題は選挙時に鶴保氏の運動員が票集めに買収や供応で逮捕された問題です。これも一度ならず繰り返されています。
  • 年金未納問題ですが、当初は調査に回答しませんでした。結局は5年以上も未払い期間があったことを認めています。
  • 政治活動費問題は鶴保氏が代表の自民党支部が六本木やキャバクラ、地元和歌山のクラブなどの支払いを政治活動費としていた政治資金規制法違反問題です。これも繰り返し問題視されています。
  • 違法献金問題は毎日新聞が書いた最近の問題です。記事によれば、あるNPO法人の副代表が別人名義で法令上の上限を超えて鶴保氏の政治資金パーティー券を購入し、その後このNPOは鶴保氏に面談、結果として補助事業に選ばれたことから、鶴保氏の口利きが疑われています。
    鶴保氏はこのお金を返金しています。鶴保氏はこのような違法献金問題も初めてではありません。地元の建築業者から不当に安くマンションを借りていたことが発覚したり、社長が贈賄容疑で逮捕された会社から違法に献金を受けていたりして再三問題になっています。

 ようやく発言問題にたどり着きました。

これもいろいろあるのですが、鶴保氏は現職の沖縄担当大臣ですから、沖縄に関する発言に絞ります。最近の問題発言が二つあります。

ひとつは大臣就任後会見で、「沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクしている」として、リンクしないとしていたこれまでの政府見解を覆し、「普天間基地辺野古移設が遅れた場合は予算を減額する」と発言しました。

これだけでも大きな問題ですが、その発言中に、「無理やりお口開けて食べてくださいよ~」などというという沖縄県民にとっては侮辱的ともとれる文言があり、強い批判の声が上がりました。

さらに10月には、選挙で自民党の候補者が沖縄で勝つかどうかと沖縄振興策はリンクしていると言い放ち、沖縄の怒りを買いました。

 このように沖縄県民の感情を逆なでするような発言を続ける鶴保氏がまたまた問題となったのが国会における「土人発言擁護」とも取れる答弁です。

8日の参院内閣委員会で、沖縄のヘリパッド建設工事に反対する市民に対し、大阪府警機動隊員が「土人」と呼んだ問題について質問された鶴保沖縄担当大臣は、「大変残念な発言である。」、「発言は許されない。」などとした上で、以下のような大意の発言をしました。

 「差別以外の何物でもないと言うが、過去に土人という言葉が出てきた歴史的経緯や様々な考え方がある。『土人である』と言うことが差別であると断じることは到底できない」

 「土人」という言葉が人を蔑視し差別的な意味を持つことがあることは常識でしょう。そして大阪府警の機動隊員は、

「さわるな、クソ、どこをつかんどんじゃ、ボケ、土人が」

と言っています。クソ・ボケ・そして「土人」です。

【参考】蓮舫氏の二重国籍は「過失」ではなく「故意」か?

この時「土人」が侮蔑的に使われたことは確かです。そしてその場にいた市民ばかりか、沖縄の方々をはじめとする多くの日本人がこれを侮蔑的、差別的な発言と感じました。ならばこれは明らかな差別発言でしょう。それをなぜ歴史的経緯や差別であると断じるかどうか、などという話にしてしまうのかふしぎでなりません。

 ここにあげた二つの鶴保発言は、日本政府の代表として、沖縄県民の心に寄り添いながら沖縄の振興を図る人の発言とは思えません。おそらくこれが鶴保氏の沖縄担当大臣としての立ち位置なのでしょう。

前任は島尻安伊子氏。「歯舞」が読めなかったと騒がれた方で、先の選挙では現職の沖縄担当大臣ながら基地問題にまったく触れず大差で落選しました。

その後継に安倍首相が任命したのが鶴保庸介氏です。基地問題は菅義偉官房長官に担当させ、それ以外は鶴保氏が担当、という人事に政府の沖縄への姿勢が表れているようです。

暴言続きの山本農水大臣を辞めさせない安倍内閣ですから、問題のデパートとか総合商社と言うべき鶴保氏も辞めさせられることはないでしょう。沖縄の怒りは続きます。

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