<木村拓哉主演>ドラマ「ALIFE ~愛しき人~」は医療ドラマの傑作


赤坂慎吾[ライター]

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木村拓哉主演TBS日曜劇場『ALIFE~愛しき人~』の第1回、第2回放送分(1月15日、1月22日)を見た。

私事で恐縮だが、第1回は期せずして自分の父の通夜のあとに見た。第2回は初七日の法要を終えてから見た。もちろん、このドラマだけではなく、病院の個室では父の顔も見た。

担当医師は筆者が東京から到着する夜まで待っていてくれた。勤務時間外だろうに筆者に父の最期の様子を説明するために待っていてくれたのだ。そして、遺体が病院の外で待っている葬儀社の車に乗せられ発車するまで見送ってくれた。その病院のマニュアルなのか、そういうケースに於けるそのドクターだけのルーティンなのか分からない。しかし、心から有難いと思った。

さて、そんな中で見たテレビが、たまたま木村拓哉主演TBS日曜劇場『ALIFE~愛しき人~』だったわけだ。本作は硬派医療ドラマとしては傑作といえよう。

ドラマの制作や役者の演技については何も知らないド素人の筆者が見ても、子供のように「凄い」と感動する。そんなドラマだった。

第1回のテーマが「心臓疾患」で、第2回が「大動脈瘤」。両方とも筆者の既往症で手術の失敗や医療ミスの話も筆者の体験と被って他人事ではない。ぐいぐい引き込まれてしまった。筆者の場合、ミスオペをした外科部長はその病院を辞めなかったが、二度と筆者の病室に来ることはなかった。

部長の後任で筆者の担当医師となった若いドクターに「私の心臓手術の1回目は失敗だったんだよね」と念を押したら、彼は「そうです」と答えた。2日後からその若いドクターの姿が消えた。ナースにしつこく尋ねたら「突然転勤した」と教えてくれた。勿論、心臓血管外科部長に不利な発言をした為、飛ばされたのだ。

これは筆者自身の体験談であるが、まさに事実はドラマより奇なり、である。

そういうところも『ALIFE~愛しき人~』はドラマの中でしっかりと描かれている。いずれ、この作品の評論は専門家があらためてきちんと分析して記事にしてくれるものと信じているので、筆者は一番感動した2回のラストに近いシーンについてだけ述べる。

【参考】<ドラマはなぜ10回〜11回なのか>日本のテレビドラマは「ガラパゴス化」している

第2回のゲスト出演は名優・平泉成だ。頑固な和菓子職人が腹部大動脈瘤で入院。エリート医師の松山ケンイチがオペする。成功したかに見えたが職人の命である利き腕がしびれ、自殺未遂。ネットで医療ミスとの情報が流れ病院は紛糾する。

医療ミスを1億円の示談金で闇に葬ろうとする副院長役の浅野忠信らを向こうに回して硬派の天才医師・木村拓哉が、これを阻止する。そして吠える。

「大丈夫! 絶対治してみせる。俺なら切れる!」

この後、本編一の感動の名シークエンスに続く。

手術成功後、病室を訪問した木村拓哉に平泉成が「うちの和菓子だ。食べてくれ」と渡す。ナースが木村を「先生。患者様からの頂き物は・・・」と制止する間もなく一口で頬張る。屈託のない笑顔で「美味しい!」と言う。医師と患者の心が通じ合った瞬間のように思えた。

この後、「命を救ってやったのに手の痺れくらいで言いがかりをつけられた」と不貞腐れていた松山ケンイチにも木村は和菓子を勧める。松山は菓子を頬張り木村に救われた事を感謝する。

「規則だから」と怒ったような顔をして、筆者が出した心付けの菓子折りを辞退した国立大病院の教授は筆者への医療ミスをもみ消そうと躍起になった。筆者の命を救ってくれた地方都市の公立病院院長に田舎の名産を持って行くと心良く受け取ってくれた。

こちらも筆者自身の体験談であるが、やっぱり、事実はドラマのようだ。

木村拓哉主演TBS日曜劇場『ALIFE』には、現実の医療現場で実際に起きている、ありとあらゆる人間ドラマがき生きと描かれているような気がする。

改めて、本作は硬派医療ドラマの傑作だと言い切れる。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。