木村拓哉『ALIFE~愛しき人~』は『白い巨塔』『愛染かつら』を超えるか?


赤坂慎吾[ライター]

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木村拓哉主演のTBSドラマ『ALIFE~愛しき人~』の第3回(1月27日)を見た。

数有る医療ドラマの走りは、川口松太郎原作の『愛染かつら』(フジ1965・1968・1974、NHK1976)だろう。医師と看護婦のラブストーリーを縦糸に、彼らを取り巻く人間ドラマを横糸に織り成すメロドラマ的古典の名作だ。

山崎豊子はそれを超えるべく『白い巨塔』(1963)を描いたとき綿密な資料と取材により、「これが医学界の実態だ!」と言わんばかりの迫真性を持って表現した。金権主義、権威主義の腐敗した大学病院、医学界を描き、医療訴訟や人間の業までを描き切っている。

後に、長瀬智也主演の『フラジャイル』(フジ2016)では過去の医療ドラマでは取り上げられることのなかった「病理医」と言う直接患者と向き合う立場にはいない医師の世界を描いて人気を博した。長瀬智也の「あんたバカなのか。それでも医者か。」の決めセリフもずいぶん流行した。

【参考】<木村拓哉主演>ドラマ「ALIFE ~愛しき人~」は医療ドラマの傑作

『ALIFE~愛しき人~』での木村拓哉の役どころは、正義の孤高の天才外科医である。彼にはクランケ・ファーストしかない。権威もしがらみも眼中にない。

「この病院でオペをさせないなら、ここを辞めて患者と一緒に新しい病院に行ってオペをする」

と吠える。心臓手術も脳手術もやる。1月27日放送の第3回では、学界権威の教授の誤診を見抜き小児科で腸捻転の子供の命を救う。しかし、故手塚治虫氏の名作『ブラックジャック』のような荒唐無稽なスーパードクターではなく、オペ前の苦悩や資料精査、オペ反対派との軋轢も描かれている。

劇中、図解がたびたび写し出される。それが素人にも解りやすい。筆者の心臓手術の時に見せられた絵と同じような説明だったので、きっとキムタクはこんなところまで専門家の綿密なレクチャーを受けているなと思った。まるで本職の医師がドラマで演技をしているようだ。

医療の現場は著しく進歩しているが、医療ドラマも急激に進化している。そして、本作品の面白さの一番の理由はキムタクの演技によるものだろう。演じていると言う気がしない。実在しているかの如く錯覚してしまう。

もし、筆者が今度倒れた時には、「木村先生を呼んでくれ」とうわごとを言うかも知れない。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。