<成蹊大卒の安倍首相>内閣総理大臣に学歴は関係あるのか?


保科省吾[コラムニスト]

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普通の人が、特に日本社会ではタブーに触れるので口にしないことを今回は言葉にしてみる。

「日本のトップである首相が成蹊大学卒ではまずい」

こういう単純化した言い切りには誤謬、間違いがある。間違いがあることは承知で敢えて論をすすめる。

安倍晋三首相は1954年9月21日生まれ。父は総理就任を嘱望された安倍晋太郎もと外務大臣(東京大学法学部卒)。祖父は岸信介もと内閣総理大臣(東京帝国大学法学部卒)。大叔父は佐藤栄作内閣総理大臣(東京帝国大学法学部卒)。華麗な政治家一族である。

このなかで、安倍首相はなぜ成蹊学園にすすみ、そのままエスカレーター式に成蹊大学に進学したのか。

筆者も同じ世代だが、安倍首相の大学受験は一期校、二期校の時代であった。東京に住む成績上位層の若者にとって、狙う一期校は東大、一橋大、東京工大などであり、二期校は選択肢がなく、私立の早稲田、慶応が押さえとなるのが普通であった頃だ。

成蹊は1914年、池袋に旧制中学・成蹊中学校を創設。1925年には、成蹊高等学校(旧制7年制)を創設した。全国でも4校しかない私立の7年制(尋常科4年+高等科3年)の旧制高校だ。履修する第1外国語により、文科甲類(英語)・文科乙類(ドイツ語)・理科甲類(英語)・理科乙類(ドイツ語)と細分された。

当時、医学部に進学する人はドイツ語を学ぶために理科乙類に入った。当時は一度、尋常科に入学すれば帝国大学への進学が保証されていた。また、旧制高校の中でも成蹊は初等教育機関(小学校)を包含していたため、成蹊小学校への入学が帝国大学への進学に直結することとなり、人気を集めた。旧制成蹊高校時代は、ほとんどの生徒が東京大学(東京帝国大学)へ進学した。

その伝統は今でも続いており成蹊高校の上位層は、そのまま大学に進むことを潔しとせず、他大学を狙う。

その状況で安倍晋三青年はなぜ、成蹊大学進学を選んだのか。

きっと、地頭の良い人なのだろうと思いたい。だが、それならなぜ、稲田朋美防衛大臣(早稲田大学法学部卒)や、金田勝年法務大臣(一橋大学経済学部卒)を閣僚に起用するのか。

稲田朋美防衛大臣は、2月2日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市沖での米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの不時着事故をめぐる野党議員の質問に直接答えず、浜田靖一委員長(自民)から「質問に答えて」と注意された。

稲田氏に質問した共産党の笠井亮政策委員長は昨年12月のオスプレイ事故に関し「米側から最終的な事故調査報告はいつ出てくるのか」とただした。これに対し、稲田氏は官僚が書いた「防衛省における分析と評価について、8つの項目に分けて具体的に申し上げる」と、その内容を延々と説明し出した。

答弁、事故後のオスプレイの飛行再開にあたっての日本政府の対応を長々と説明するのみ。質問には直接答えなかった。最終的には浜田靖一委員長(自民・専修大学経営学部卒)が稲田氏の答弁を遮る形で「はい、そこでやめましょう」と注意。さらに「一言申し上げます。質問に対して答えてください」と注意された。

【参考】<オスプレイ墜落>米軍に服従するだけの安倍晋三政権

金田勝年法務大臣は、同じ1月30日の衆院予算委員会で、民進党の福山哲郎幹事長代理(同志社大学法学部卒・京都大学大学院法学研究科修士課程修了)が金田勝年法務大臣に共謀罪について質問。政府は、テロ組織が殺傷力の高い化学薬品による大量殺人を計画し、薬品の原料の一部を入手した場合についても「現行法で対応できない犯罪」としている。

この点について、共謀罪が必要な理由を同法務相は「化学薬品の原料の一部を手に入れる行為は、過去の裁判例をみると、『組織的殺人の予備』にあたるとは言い難い場合もある」などと答弁したのに対し、福山幹事長代理は「それでは具体的な判例を挙げてもらえますか?」と質問。ところが福山氏のこの質問に対し「ご指摘の点は直接の判例はありませんが、その点は訂正をさせて頂きます。ただ、判例的な考え方を申し上げているんです」と述べた、無茶苦茶である。

地頭が良ければ、それまで勉強していなくても、1年くらいまじめに浪人すれば早慶程度には引っかかるというのが筆者の考えではある。安倍青年は勉強が嫌いだったのだろうか。

さて、冒頭の「日本のトップである首相が成蹊大学卒ではまずい」という命題の間違いを訂正しておく。

「日本の国民の代表である首相は高い識見知識を持ち、優秀な閣僚を使いこなし、高学歴の官僚に適格な指示を与えられる人物であって欲しい。ならば学校歴など問題にならない」

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。