<元軍人だから?>横田基地から軍用ヘリで都心に向かうマティス国防長官

政治経済

保科省吾[コラムニスト]

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アメリカ・トランプ政権の閣僚として初めての来日。アメリカのジェームズ・マティス国防長官が2017年2月3日午後、アメリカ軍横田基地(東京都福生市)に到着した。横田からは軍用ヘリコプターに乗って都心に向かう。来日した安倍晋三首相に会うためだ。

なぜ、羽田に到着して車で官邸まで移動しないのか。元米軍人だからといっての特別扱いである。シビリアンコントロール(文民統制)なら、元軍人だからと言って閣僚の今は軍人ではないはずだ。これを奇異に感じる感覚を持ち続けたいと思う。これを許す日本は独立国家なのか。

この特待に気をよくしたのか、マティス防衛長官は日本の行政陣を喜ばせた。会談では中国が活動を活発化させている東シナ海や南シナ海の情勢について懸念を共有(日本側の説明)。

「尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、安保条約5条の適用範囲だ」

と明言し、「米国は、尖閣に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。

さらに、米国の「核の傘」を含む「拡大抑止」の提供について、米国が関与していく方針を改めて確認。「我々がアジア太平洋で関与を強めることは域内の平和と安定の礎となる」とも述べた。

【参考】<日本はアメリカの属国?>トランプ氏の過激発言があぶり出す米軍への「思いやり」予算

さらにさらに、トランプ米大統領が大統領選中に日本側が負担を増やすべきだと主張した米軍の駐留経費。応じない場合は米軍を撤収する可能性に言及していたが、マティス長官は共同記者会見で、

「日本は(米軍駐留の)コスト負担のモデルだ。日米の経費分担は他の(同盟)国での手本となる」

と評価した。安倍政権が防衛予算を増やしていることを「正しい路線を歩んでいる」と評価した。筆者には「お手本ですから、これからもどんどん米軍基地の経費分担を増やして下さい」としか聞こえない。

85分間もの時間を取って、マティス長官のお説を拝聴し、説諭をうけた稲田朋美防衛大臣。お喜びのようだが本領を安堵されて喜ぶ下っ端大名のようである。

後援会組織「ともみ組」を率いる稲田防衛大臣。これからマティス長官に堂々と対峙できるのか?

 

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