<ALIFE~愛しき人~>キムタクが叫ぶ堕落した医者達への警告


赤坂慎吾[ライター]

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木村拓哉主演TBSドラマ『ALIFE~愛しき人~』の第4回目の放送(2月5日)で、重篤な患者のオペを前に吠えるキムタクを見た。

「切るのは俺だ。お前じゃあない。」

このメッセージには劇中のキムタク演じる沖田医師の外科医としての矜持が込められている。ドラマの中で一人のナースの人生と共にクランケの命も救う。

筆者のような凡夫でも、歳と共に通う病院や診察を受けるドクターの数が増えてくると、少しずつ医師の本物か偽物かの区別が付くようになってきた。医師の偽物とは無免許医と言う意味ではなく、医師の誇りを忘れた愚か者の事だ。

今どき、『ALIFE~愛しき人~』の浅野忠信のようなステレオタイプの野心家ドクターはいないだろう。『白い巨塔』の財前教授のような悪徳医師はいるはずがないと思うだろうが、筆者の経験では存在するのだ。

【参考】木村拓哉『ALIFE~愛しき人~』は『白い巨塔』『愛染かつら』を超えるか?

日本全国、大小を問わずどこの医療現場にもいる。人間であるかぎり、功名心、出世欲、名誉欲は、誰しも持っている。人の健康、生命を守る医師とて例外ではない。医師が心の内で少しくらい費用対効果の算盤を弾いたとしても、何ら責められるべき言われはない。

しかし、医師が己れの欲や功名心ばかりにとらわれ、人の命や健康を守ると言う大義を忘れるならば、それは偽物の医者と断ぜざるを得ない。

ある国立大教授の医師は、ドラマの医師のように論文と己れの名誉欲のためだけに外来患者を診ていた。筆者は3時間待たされて30秒の診察を受けた。患者からの質問や疑問は一切許さない。そればかりか、筆者に投薬量を誤った部下の医師を、口封じの為に「留学」と称して海外に逃亡させたことすらある。

また、筆者が銀行員時代担当した地方の開業医は、医院の売上金額にしか興味がなく、1日の診料報酬を「水揚げ」と呼び、手間の掛かる高齢患者を「クズ」と蔑んでいた。この手の輩に医療行為を受けたら不幸だ。

人の命や健康を救う事の結果として、名声や報酬が得られ、医師自身が達成感や幸福感に満たされて行くなら、結構な事だが、医師の欲のために患者が犠牲になるのは御免蒙りたい。確かに、医療は大変な仕事だ。かと言って患者の命や人格を無視した対応は決して許されない。

キムタク演じる沖田医師には「患者の命を救う」という意思の本分以外の思いは何もない。大病院の裏事情も、保身の絡んだしがらみも、名誉欲も何もない。

木村拓哉が医療ドラマ『ALIFE~愛しき人~』で表現したかったこと。それは生命の尊厳と、堕落した医者達への「目を覚ませ」と言う警告に他ならない。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。