<東京・多摩市長が怒り>税の付け替えでしかない「ふるさと納税」はおかしい

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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「自治体への寄付を増やそう」ということで、豪華返礼品を巡って問題となっている「ふるさと納税」。

「ふるさと納税」とは他の自治体に寄付すると居住地の税が軽減するというもの。寄付の先は郷土であったり、お気に入りの地であったりと、美談も伴う「ヒット施策」かに見えた。

そんな中、東京・多摩市の阿部裕行市長が怒っている。同市では「ふるさと納税」のために、2017年度の市民税収が2016年度より1億2000万円が減少する見込みと発表した。また、新聞でも東京23区は2017年度に少なくとも208億円の税収減が見込まれる(2017.2.18毎日新聞)というから、事態は深刻だ。

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そもそも税の公平性、公正性から見たならどうか。

「ふるさと納税」は、首都圏の自治体行政への妨害となっている。税制の在り方、自治体施政への影響をみれば、阿部市長の指摘はもっともで、施政を担う首長としては、当たり前ながら勇気ある発言といえる。

「ふるさと納税」とは、所詮、自治体A→自治体Bへの税の付け替えに過ぎないのだ。

国策の結果で地域格差、経済格差を生んでおきながら、国は本来的な公的責任を負わず、寄付という「大衆の善意」を利用して仕掛ける「寄付のすすめ」。拡大する一方の格差それ自体を埋めるには本末転倒だ。格差の是正というより糠に釘、である。 

責任逃れで得しているのは国ばかり。寄付を受ける側も返礼品に頭をかかえている。総務省は返礼品に商品券を用意したある自治体を批判するが、肉や魚や野菜やチケット類とどう違うというのか?

なにより税収減の影響は行政サービスにつながる。阿部市長につづき「この制度はおかしいぞ」と声を上げる首長はいるのか。

 

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