キムタクの演技が際立つドラマ「A LIFE~愛しき人〜」


赤坂慎吾[ライター]

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第7回放送(2月26日)を迎えた木村拓哉主演TBSドラマ『A LIFE~愛しき人~』。

キムタク演じる孤高の外科医・沖田は、実は学歴コンプレックスがあり、恋人を親友に略奪された過去がある。野菜は苦手だし、もんじゃ焼きはネギキャベツ抜きしか食べられない。論文の作成に興味がないので自分がやった斯界の先駆的手術を他人が論文に書いても平気だ。松山ケンイチ演じる青年医師に突っ込みを入れられても軽くいなす。

「自分の出した成果を他人に盗られて平気なんですか?」

「(論文は)誰が書いても同じだろう」

仕事のことでいっぱいいっぱいで、オペのシミュレーションに長時間を費やし、資料整理が下手で不器用。床一面にペーパー(資料)を並べる。壁の白板にマーカーペンで殴り書きする。後輩のマツケンに「いつ来ても汚い部屋」と非難される。

時間外労働はたびたび深夜にまで及び「沖田はいつ眠るのか?」と余計な心配をしたくなる。日常生活では時間管理が下手で、スーツケースいっぱいにたまった洗濯物を詰め込み、頑固な寿司屋の実父の家に帰って行く。いまだ独身。

見ようによっては、非常にかっこ悪い中年医師に描かれている。ところが、そんな沖田もキムタクが演じるとまるで違う。医師としての矜持のみで生きているような男だが、人間味があっておおいに悩み苦しむ。ひとたび決断すると敢然と行動する。

【参考】「A LIFE ~愛しき人~」の沖田はキムタク以外に演じられない!

第7話で沖田はついに「愛しき人」の手術のヒントを掴んだ。そして物語は一気にハッピーエンドに!・・・とはならない気がする。

ここから本編はきっとワンカットすら見逃せなくなる。勿論、沖田が掴んだオペの光明の医学的正当性を論じるつもりはない。本編はあくまで「医療ドラマ」だ。しかし、たかがドラマだからと言っていまだかつて、これ程胸を打つ作品に筆者は出会ったことはない。(もっとも、それはあくまで筆者個人の感じ方なので反論は御容赦願いたい)

沖田先生をキムタク以外の他の役者が演じたら、とんでもない凡作になっていたことだろうと筆者は考えている。キムタクは沖田を演じられる唯一無二の男だろう。その思いは第7話の今回でいっそう強くなった。

回を重ねるごとにドラマのクオリティーが高まっていく。俳優・木村拓哉の演技が作品の最大の魅力として本作を傑作医療ドラマに仕立て上げている。ファンならずとも見た人に「熱いぞ! キムタク」と思わせる作品だ。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。