<名作ドラマの条件>木村拓哉『 A LIFE~愛しき人~』の共感と幸福感


赤坂慎吾[ライター]

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筆者は長年、視聴者としていろいろなテレビドラマを見てきた。その中には、放送が終わって何年経っても忘れられない名作ドラマというものが結構ある。 「カミさんの悪口(1993)」や「華麗なる一族(2007)」(ともにTBS)などは忘れられない。

古くは「咲子さん、ちょっと(1961TBS)」、「ただいま11人(1964TBS)」、「七人の孫(1964TBS)」、「次郎物語(1964NHK)」、「竜馬がゆく(1968NHK)」等々、挙げるときりがない。

筆者が物心ついた時代は、テレビ放送はまだ始まったばかりの頃。今とは時代も状況も大きく異なる。もちろん、時代と暮らしぶりと世相を反映してドラマの内容も種類も当然変わる。

しかし、いつまでも心に残る「名作ドラマの条件」というのは、そういった時代や世相の違いを超越し、「役者が有名だから」「演技がうまいから」というだけでも、もちろん流行だけが反映されるだけでもないように思う。

例えば、矢沢永吉の「アリよさらば(1994TBS)」はタイトル曲しか記憶にないし、高倉健テレビ初出演ドラマはタイトルさえ思い出せない。もちろん、2人とも大好きなアクターであるのだが。

【参考】木村拓哉『A LIFE~愛しき人~』は『白い巨塔』『愛染かつら』を超えるか?

時代や世相による変化はあるものの、心の琴線に触れる名作ドラマとは、それを見た視聴者が、どれ程「共感できるか」によるのだろう。

現在、筆者の琴線に触れ、長く記憶にとどめることになると思われる名作ドラマは、間違いなく木村拓哉主演のTBSドラマ「A LIFE~愛しき人~」だ。

筆者が「ALIFE~愛しき人~」を初めて見たのは肉親の通夜の晩だった。家人と2人で、しょんぼりと疲れた感じでテレビを眺めていた。

「病院が舞台か、キムタクが医師の役で出てるのか、明日は葬儀だから、これを見たら、もう寝よう」

などと考えていた。が、途中から、ぐいぐいと引き込まれるように見てしまった。いつの間にか背筋が伸び正座して見ていた。ドラマが終わると2人とも大きなため息をついて、感想を言い合った。

「このドラマ凄いな」

「あの時と同じだ」

「キムタクっていいね」

「共感するってこういうこと?」

通夜の晩だが夫婦は幸福感に包まれた。そういうテレビドラマは、きっといつまでも忘れない。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。