民進党を即刻解体して主権者勢力の結集を図れ-植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]
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民進党は即刻分党するべきである。
通常国会が閉幕したのが6月18日。東京都議選は7月2日だった。都議選では自民党が歴史的な惨敗を喫したが、民進党はそれにもはるかに及ばぬ、壊滅状態だった。都議選直後に蓮舫氏が引責辞任して、直ちに再出発を図るべきだった。
ところが、蓮舫氏が辞意を表明したのは7月27日。さらに代表戦は9月1日まで先送りされた。そのうえで新体制を発足させたのが9月5日。しかも、内定した幹事長を差し替えるという失態を演じた。もはや存在意義のない政党だと認定されておかしくないだろう。
幹事長に内定し、白紙撤回となった山尾志桜里氏の不倫スキャンダルが9月7日発売の週刊誌に掲載されるという。安倍自民党が追い込まれてきた要因のひとつが「ゲス不倫」で、この機会に一気に安倍政権退陣にまで追い込むべきところで、民進党がオウンゴールで大量失点を献上という図式になった。
通常国会では、森友・加計・山口のアベ友三兄弟疑惑が炸裂した。さらに、自衛隊日報問題もクローズアップされた。安倍政権を徹底追及しなければならない状況にあり、さらに会期末には現代版の治安維持法とも呼ばれる「共謀罪」を創設する法案が、委員会採決をすっ飛ばして、本会議での採決・成立が強行された。
そして、すべての論議、疑惑から逃走するように安倍首相は通常国会を閉幕してしまった。野党は国会召集を求めた。
日本国憲法第53条は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めており、安倍内閣は国会を召集することを憲法によって強制される状況にある。
臨時国会を召集しないことは憲法無視の行動であり、日本国憲法第99条が定める、憲法尊重擁護義務に反する、憲法違反の行為である。森友疑惑では、財務省近畿財務局が国有財産を不正に低い価格で払い下げた容疑が濃厚になっている。
この問題に安倍昭恵夫人がかかわっていることは明白であり、安倍昭恵氏の国会証人喚問が必要不可欠な状況にある。また、国家戦略特区諮問会議による森友学園の獣医学部新設認可は、典型的な政治私物化案件、政治腐敗事案であると見られ、加計学園の加計孝太郎氏の証人喚問も必要不可欠である。
7月2日の東京都議選後、間髪を空けずに安倍政権を徹底追及し、巨大疑惑の真相解明に突き進むべき局面であった。その、最重要のタイミングで、民進党は2ヵ月半の時間を空費し、逆に与党から追及される状況を自ら生み出している。
10月22日までは、すでに2ヵ月を切っている。衆院補選も宮城県知事選も、本来なら、最後の追い込みにかかるべき局面だが、野党陣営では候補者の確定さえできない状況に追い込まれている。もはや「政党依存選挙」から脱却するべき局面だ。
民進党はすでに「終わっている」政党なのだ。2009年の民主党は輝いていた。しかし、この輝く民主党を破壊したのは民主党自身である。民主党内の既得権勢力が小沢-鳩山民主党を民主党の内側から破壊したのである。鳩山政権は米国による支配、官僚による支配、大資本による支配の三つを断ち切ろうとした。
ところが、民主党内の既得権勢力が、鳩山政権のこの方針を民主党内から破壊したのである。破壊を主導した渡部恒三氏、藤井裕久氏、仙谷由人氏、菅直人氏、岡田克也氏、野田佳彦氏、前原誠司氏、枝野幸男氏、安住淳氏、玄葉光一郎氏、の10人を「民主党悪徳10人衆」と称してきた。
2010年に民主党を破壊して、権力とポストを強奪した「悪徳10人衆」がいまだに民進党の中枢を占拠していること自体が、「民進党が終わっている」何よりも証左だ。「隠れ自公勢力」と「反自公勢力」が、この機会に完全に袂を分かつべきだ。
民進党が動かぬなら、日本の主権者は民進党を無視して、主権者が主導して次の衆院総選挙に向けての準備を加速させるべきである。

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