<お金は信用の数値化>西野亮廣がビジネスでもスベリ知らずな理由

放送作家・知久哲也

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絵本作家としても活躍する芸人・西野亮廣氏の都内大学での講演の様子が各メディアで取り上げられ、話題となっている。

テーマは「新時代の若者の生き方」。西野氏は講演の中で、「この国は、お金に関しての教育をしない。お金に関して知らないことを増やしてしまうと、どんどん貧しくなる」と、お金の在り方について言及し、注目を集めた。

西野氏は自身が運営するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」に3万人以上の会員を集め、日本一に育て上げただけでなく、クラウドファンディングにおける資金調達も累計で2億円以上と、ビジネスおいてもスベリ知らずだ。

放送作家として多くのバラエティ番組に関わった筆者ではあるが、西野氏との直接的な面識はない。話題も多いが賛否両論もあるといった程度の知識しかないので、無駄に彼を評価する義理もなければ、もちろん、提灯記事を書こうとも思わない。しかし、そんな客観的な立場から見ても、純粋に西野氏の挙動には納得させられることが多い。

例えば、西野氏が3万人にも及ぶ仲間を集め、2億円を超える資金を集められた成功の背景にはどういった理由があるのか? 本稿では、その成功の秘密について考えてみたい。

「西野氏が有名なタレントだから多くの人と金を集めた訳ではない」と分析するのは、日本最大級の資金調達情報サイト「資金調達プロ(https://shikin-pro.com)」を運営する株式会社セレスの吉田教充氏だ。

吉田氏「タレントには人とお金が集まりやすいのか? という事に関して言うと、答えは否です。むしろ不利なのではないでしょうか? なぜかと言うと、タレントは嘘をつかなければならない職業だからです。嘘と思われる人や企画にはお金も人も集まりません。」

企業の広告費によってギャラが支払われているタレントは嘘を付くのも仕事のうちであることは理解出来る。そして、目の肥えた視聴者は嘘を勘ぐったり、嘘を見抜いてしまうのだ。少しでも怪しさがあれば、SNSですぐに暴かれ、拡散されてしまう。

確かに、西野氏よりもテレビ出演の多いロンドンブーツ1号2号の田村淳氏が目標金額1000万円のプロジェクトで200万円しか集められず、企画が頓挫した。こういった例も多い。オンラインサロンの会員数が100人以下の「テレビでお馴染みの有名人」がざらにいる。

逆に小谷真里という全く無名のホームレス(無所属で活動実体のない無名の元芸人)がクラウドファンディングで結婚資金250万円を集めた事例がある。また、日本で3番目の売り上げを誇るオンラインサロンが和佐大輔と木坂健宣という全く無名の男性が運営するサロンである。

つまり、有名か無名かは人や金を集める上では、ほぼ関係ないのだ。

なぜ西野氏には人も金も集まるのか? そのキーワードは「信用」であると前述の吉田氏は説明する。

吉田氏「西野さんは『失礼なスタッフがいた番組は収録直前だろうが帰ってしまう』『事務所の社長にも平気で過ちを指摘する』などの逸話からご自身に正直に生きている、つまり、嘘をつかない事で世間からの信用を得て、人やお金を集めているのです」

さらに、こうも続ける。

吉田氏「お金とは信用のひとつの表現形態に過ぎない。1の信用しか持っていない人は1のお金しか集められないし、100の信用がある人は手元に1のお金しか無くても、周りの大人が100のお金を投資してくれる。つまり、信用とお金は≒(ニアリーイコール)なわけです」

例えば、借金というと、一般的にはネガティブなイメージであるが、ビジネスの世界においては、多額の借金がある人は多くの信用を持っている人、となる。資金調達において数多くの事例を見てきた吉田氏もやはり投資を受けるコツは「いかに信用を勝ち取るかである」と語った。

今の時代、「資金調達プロ(https://shikin-pro.com)」や「CAMPFIRE(https://camp-fire.jp)」など、人や金を集めるツールは山ほどある。つまり、1円も持っていない人でも会社やプロジェクトを立ち上げる事が出来る時代なのである。逆に、上記のような既に資金調達サービスとして評価の定まっているものもある一方で、明らかに「信用」の薄いサービスがある。あえてここでは挙げないが、信頼できないものの方が多い。

要は何事も「信頼」の時代になっているのだ。

西野氏が若者たちに向かって語っている「お金の話」は、実は、嘘を付かず正直に生きる大切さを説いているのだ。改めて「人」と「金」の本質を考え、信用の重要さを見直したい。

 

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