<テレビドラマ作りの難しさ>連続ドラマは「最終回だけ」連続ドラマではない


貴島誠一郎[TBSテレビ制作局担当局長/ドラマプロデューサー]

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連続ドラマの最終回の脚本は難しい。

理由は唯一、次の回がないからだ。つまり「最終回だけ」が連続ドラマではないのだ。

「原作あり」の場合、結末は大きく変えられないから迷わずに済むかというと、そうでもない。それまでの脚色やキャストの芝居の積み重ねがあるから、原作どおりにいかないケースもある。端的にいうと、妊娠や出産は辻褄が合わないことが多い。また、回想が多すぎる原作は映像化に向かない。子役はともかく、老けや若作りの未来や回想は、原作の感動が伝わりづらい。

「オリジナル脚本」の場合、結末をつけるのは更に難しい。急にいい人になったりする、いかにも最終回的な展開やまとめ方、パート2希望や映画化の下心見え見えの中途半端なラストなど、視聴率が良かろうと悪かろうと、それまで付き合ってくれた視聴者の期待に、なるべく応えたいがために、当初の結末を変えることもある。

それがオリジナルの良さでもあるが、裏目に出ることもある。視聴者の多くは「ハッピーエンド」を求めるが、実は「ハッピースタート」でしかない。

自分の制作したドラマで納得の最終回になったのは、お受験という言葉を生んだ『スウィート・ホーム(TBS・1994)』(西荻弓絵脚本)だろうか。ラストの合格発表のシーンは、作られた子供ではなく、子供らしい子供こそ合格して欲しいという、当初からの企画意図だった。

13年ぶりに復活した木村拓哉主演『HERO(フジテレビ・2014)』(福田靖脚本)の最終回は普段着に徹して、いやらしさのない素晴らしい最終回だった。杉本哲太と吉田羊のシーンこそ最終回らしさがあったが、杉本哲太の妻は角野卓造の娘だから近藤春菜が出演するというネットの噂は裏切られましたね。そんなことする訳ないよ。

ただ、ゲストのキャスティングに最初から全力投球したために、ラスト前から最終回は苦労した跡を感じたが、それを跳ね返す長回しの法廷シーンに迫力があり、安易にお涙頂戴に終わらせないスタッフ・キャストの「平常心」を感じる見事な最終回だった。13年も間が空かないはずの続編は、テレビであろうが映画であろうが、北川景子は司法試験に合格はしていないはずだ。

 

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貴島誠一郎

貴島誠一郎(きじま・せいいちろう ) TBSテレビ制作局担当局長、ドラマプロデューサー 山一證券を経てTBSに入社、現職。1957年、鹿児島県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。貴島がプロデュースしたテレビドラマは、山口智子、常盤貴子、松嶋菜々子、矢田亜希子ら、多くの女優の出世作となっている。『ずっとあなたが好きだった』(1992年)『ダブル・キッチン』(1993年)、『スウィート・ホーム』(1994年)、『愛していると言ってくれ』(1995年)『官僚たちの夏』(2009年)、『LEADERS リーダーズ』(2014年)など多数。