<バラエティ番組の人材>脚本の直しを指示する能力や技術、胆力さえ持っていない演出家が跋扈


高橋秀樹[放送作家]

 

ドラマの世界では「脚本は10回ぐらい直すのが普通だ」得々とした調子で話すプロデューサーがいるという。直しは結構だが、脚本家はいつでも決定稿のつもりで書いている。

私はバラエティの人間だが、バラエティでは「直しを命ずるディレクター」さえ絶滅してしまった。ドラマの世界では、まだ。「直しを命ずる」演出家がいることに感動さえ覚える。

バラエティの一分野であるコントを書くとする。 30年前にはこれに的確な直しを指示するディレクターがいたが、その後、何も研鑽を積んでいないのに、「闇雲に思いつきで直しを指示するディレクターのいる時代」がわずかの期間存在し、作家性などという言葉を使って議論したことを懐かしく思い出す。

その後、バラエティの世界では、直しを指示する技術や、そもそもそういった胆力さえ持っていない演出家が跋扈している状態が続いている。もうそれが20年以上、続いているような気がする。

井上ひさしさんや、永六輔さん、小林信彦さんや、青島幸男さん、そういった大先達が縦横無尽に健筆を振るったバラエティの時代はもうやってこないのかと暗澹たる気持ちになる。

私は、テレビをやるにあたって放送作家くらいは正気で(狂気ででもいいですが)いようと密かに思っている。

 

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