<変えることが目的で変えるなら無意味>フジテレビが4月から「15時間連続生放送」編成に

社会・メディア

高橋秀樹[日本放送作家協会・常務理事]
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日刊スポーツによれば、「フジテレビが4月から、平日午前4時から午後7時まで、15時間を生放送で編成する」そうである。

「現在、午前11時55分から午後0時55分までのバラエティー番組『バイキング』を午後1時45分まで延長。『直撃LIVE グッディ!』の開始時間を10分早める。前身番組から31年半も続いた『ごきげんよう』、52年間続いた系列の東海テレビ制作の昼帯ドラマを打ち切っての改革だ。これによりフジテレビの平日は、午前4時開始の『めざましテレビアクア』から『めざましテレビ』『とくダネ!』『ノンストップ!』『FNNスピーク』『バイキング』『グッディ!』と続き、『みんなのニュース』が終了する午後7時まで、途中5分間のミニ放送「おさんぽジャパン」(午前11時25分)が入るだけのほぼ生放送となる」

これが、トップダウンの命令で「編成が従っただけ」とか、ただ「変えるのが目的」の改編でなければ、大賛成である。その理由と、生放送のやり方について筆者なりの提案がある。
テレビは基本的に生放送のメディアである。なぜなら、テレビに映し出されているすべてのモノはドキュメンタリーであってこそ面白い。ドラマでも、だ。
ただし、生放送が、持つ速報性などに拘泥してはいけない。いくら生放送をやっていても、その時間に起こることなど、そしてそこにカメラがあることなど、滅多にないのである。それなのに生放送がなぜよいかというと「何かが起こりそうだから」である。
人は、「何かが起こっている時」は勿論テレビを見るが、さらに見続けてくれるのは「何かが起こっている」からではなく「何かが起こりそうだから」なのである。つまり、生放送の番組はすべからく予定調和を廃すべきなのである。
そのためには、報道局はすべての生放送に対応するべく増員スタンバイすべきである。ここが機能していないのでは何のための生放送か、と言うことになる。そんなことは分かっていると言われそうだが、意外と分かっていないのが「増員」である。
生放送にすると番組予算が減る。セットを建てる美術費が節約でき、編集費がなくなり、録画撮りに無駄な時間を割くことがなくなるからだ。出演費含め、すべての人件費が減る。そのためだけにやったのではないことを祈りたいが、時短になるだけでも、働く人の荒廃した人の心はもとに戻るものだ。
そして、生放送を続けていると、テレビづくりの勘が戻ってくる。たとえば潮目、運のツキ初め、などを読む能力だ。そういう能力が今のフジテレビは落ちているように思う。
 
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