<安倍内閣の反対論封じ?>自衛隊への敬意押し付けと起立・拍手の呼びかけ
上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]
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<自衛隊員らに「敬意を表そう」と安倍首相が所信表明で呼びかけ>
海上保安庁、警察、自衛隊に「心からの敬意を表そう」。
所信表明演説をした安倍晋三首相のそんな呼びかけで自民党議員が一斉に立ち上がり拍手し続ける一幕が、9月26日の衆院本会議で見られた。「反対する者は非国民」と言わんばかりの異様な光景だった。
< 「敬意の押しつけ」と野党・市民団体などに反発広がる>
多数におごる安倍政権と自民党執行部があらかじめ仕組んだことがミエミエのこのスタンディングオーベーションには、野党各党や市民団体などから「なぜ自衛隊員らだけなのか」「敬意の押しつけ」との強い反発が起きた。
父親が自衛官の野田佳彦民進党幹事長(元首相)も10月3日の定例会見で「違和感というより不快感さえ感じた」と批判するなど、安倍首相の「呼びかけ」は尾を引いている。
【参考】<もはや北朝鮮>「安倍首相の所信表明演説」で海外も呆れる背広組の暴走
<信濃毎日は社説で「安保法制の反対論を封じる危険」と厳しく批判>
この問題で一刀両断の明快な論調を掲げたのが信濃毎日新聞である。同紙は9月29日付の社説で、自衛隊員らに感謝の気持ちを抱いている国民が少なくないことを認めながらも、
「海保、警察、自衛隊の活動は安倍政権が整備を進めてきた安保関連法や特定秘密保護法に関わっている」
「平和と民主主義をむしろ損なうとの見方が根強く残る法律の廃止を目指し運動を続けている市民団体も少なくない」
と指摘。「そうした中、国会で議員が活動をたたえることは反対論を封じる結果を招く危険をはらむ」と、論じる。
< 「『首相1強』の自民党政治の劣化」とも指摘>
さらに、
「国会は一切のタブーなく議論する場のはず。異論を唱えにくい空気がたとえ一時であっても生まれることには敏感でなければならない」
「首相の呼び掛けに唯々諾々従った自民議員も情けない。『首相1強』とも言われる自民党政治の劣化を見る思いがする」
と、ダメを押している。
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