<「めちゃイケ」の終わり方>おもしろそうなことと「おもしろいこと」は違う
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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11月11日放送のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!(以下、めちゃイケ)」は、岡村隆史がレギュラーメンバー全員に番組が来年2018年の3月の終わるということを、責任者と一緒に伝えに行くというドキュメンタリーだった。岡村隆史はこの後、ハワイに東野幸治とロケの仕事に行かねばならないようで、時間が無いという「枷」がある。
岡村は前回のロケで着ていたショッカーもどきのタイツ姿のままである。こんな恰好で深刻なことを伝えざるをえないのは、設定としておもしろいのではないかとスタッフは考えたのだろう。
限られた時間内に伝え終わるかというハザードがあることをナレーションは煽るが、伝えきれるし、岡村が出発に間に合うことはみえている。放送終了は既にネットなどで広まっているし、レギュラーのリアクションも想定を越えてはじけることはない。
【参考】遅すぎた?「めちゃイケ」の終焉が意味すること
「めちゃイケ」は、感動をとりに走ることはあったが、情報方面にふらつくこともなく、笑いを取ることを芯に据えた希有な番組であった。いわゆるバラエティ番組の王道を走ってきた。バラエティ好きの見本であった。「めちゃイケ」のような番組は、笑いをやりたい人の目標となった。天下を取ったと言ってもいいだろう。
しかし、11月11日の「めちゃイケ」を見て、筆者が感じたのは、かつて、師と仰ぐ人から言われた心にぐさっと刺さるひとことだった。
「おもしろそうなことと、おもしろいこと、は違う」
そのとおりだと思う。だが、番組がヒットして頂点を極めると、出演者は皆有名人となり、本当におもしろいことをやらなくても、おもしろそうなことをやるだけで人は笑ってくれるようになる。ブームという名の大波の上に乗ってしまうと簡単なことで人は笑う。テレビで言えば視聴率をとる。そこに罠が潜んでいる。
「番組は好調だが、おもしろそうなことだけで番組を作るっていないか。おもしろいことをちゃんとやっているか」
残念ながら11月11日の「めちゃイケ」は、おもしろそうなことだけで構成されていた。あと半年、番組はレギュラーメンバーがそれぞれ前向きにやり残したことを前向きにやる企画を続けていくそうだ。
筆者は番組の終わりは特別なことをやらずに、静かに終わればいいと必ず主張するほうだが、終わり方は制作者の趣味だ。「めちゃイケ」は花火を上げて終わる方法を選んだ。ならば、総集編のような番組にはせずに、ぜひ、おもしろいことで終わって欲しい。
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