本当に大事なのは『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫やから』発言の真意。

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メディアゴン編集部

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この人は吉本興業の社長の任に堪えないのではないか。岡本昭彦社長の会見をほぼ、オンタイムで見た感想である。同じく立場は人を変えてしまうのだなあとの思いも強くした。

今回の会見で最も大事な点は、先日の宮迫、亮が独自にやった会見でのこと。ロンブー亮が、吉本主導の会見を求められた際のこととして、「僕がすごく不信に思ったのが、『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫やから』と言われました」と告白したことである。

吉本興業は現在もHPに、誇らしげに株主の名を掲げている。以下の通りだ。じっくり見てほしい。

株式会社フジ・メディア・ホールディングス / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社TBSテレビ /株式会社テレビ朝日ホールディングス / 大成土地株式会社 / 京楽産業.株式会社 / BM 総研株式会社(注)/株式会社テレビ東京 / 株式会社電通 / 株式会社フェイス / 株式会社ドワンゴ / 朝日放送株式会社 / 株式会社三井住友銀行 / ヤフー株式会社 / 大成建設株式会社 / 岩井コスモホールディングス株式会社 / 株式会社MBSメディアホールディングス / テクタイト株式会社 / 松竹株式会社 / KDDI 株式会社 /三井住友信託銀行株式会社 / 株式会社みずほ銀行 / 関西テレビ放送株式会社 /讀賣テレビ放送株式会社 / 東宝株式会社 / 株式会社KADOKAWA / 株式会社タカラトミー/株式会社博報堂 / テレビ大阪株式会社 / 株式会社博報堂DY メディアパートナーズ / クオンタムリープ株式会社(注)BM 総研株式会社はソフトバンク株式会社の完全子会社です。

在京5社、在阪5社のテレビ局どころか、電通、博報堂、ニコニコ動画のドワンゴ、無料動画サービスGYAO!を持つヤフー、三井住友銀行・みずほ銀行の三大メガバンク、松竹・東宝、パチンコの京楽産業まで。吉本は超優良企業である。

ただし、上場会社ではない。吉本興業は、かつて現在の東京証券取引所の一部上場会社であったが、2009年突然上場を廃止。その後TOBで非上場化され、上記の株主構成となってゆく。

上場廃止のメリットのひとつは、経営の迅速化だ。経営陣が株式を買い取った場合、経営参加の権利でもある「持ち株権」は経営陣に有される。株主がテレビ局などのお友達になった場合も同様だ。

メリットの2つ目は、上場継続にかかるコストをカットできる点だ。上場会社は四半期ごとに決算を開示しなければならなかったり、有価証券届出書などの書類作成に人件費がかかったり、監査法人への支払いが増える。コーポレート・ガバナンスの強化・維持など内部統制関連にコストがかかる。IR活動にもコストがかかるなど、上場を継続するための膨大なコストがかかっているが、これをカットできる。

吉本は、まんまと、これを成し遂げた。株を買うテレビ局にも、メリットはある。吉本の株を抑えておけば、口を出しやすくなる。不祥事が起こったときも相談できる。タレントのキャスティングがしやすくなる。つまり、テレビ局をたのむ事ができる。テレビ局は政治部、社会部を持っており、政治家、警察と話を通すことができる。

つまり『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫やから』という発言は、ものすごく多様な意味を持ってしまう。

なぜ、こんな発言をしたのか。岡本社長は答えなかった。答えたのは吉本興業ホールディングスの法務本部長・小林良太弁護士であった。

「亮さんから生中継の希望があった。生中継するとしても株主であるテレビ局に時間帯などについて配慮しなければならないと、弊社弁護士から先方の弁護士にした。それが事実です」とした。ほんとうか。

小林弁護士の持つマイクは震えていた。

吉本の頼みだからといって、放送の編集権を持っているテレビ局が、生放送など、できるわけがない。やったらテレビ局の存在理由が否定される。破滅である、実際この社長会見でもCMが入るし、本ものの「カットのない生放送」にはなりえない。

『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫やから』という発言は明らかに、おごりである。

テレビ各局の報道は、この点について巧妙に避けているように感じられた。そのような状態を現出させているのは吉本の株主だから、と思わざるを得ない。

パワハラ体質の、吉本興業を在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本興業を放っておいてよいのか、在京5社、在阪5社のテレビ局は物言う株主として、吉本興業に意見を申し述べねばならい。

その意見を聞かないのなら、在京5社、在阪5社のテレビ局は公共の電波を許可されている会社として、(もちろん他の株主も)吉本の株を手放すべきである。

吉本の会社定款を見たことはないが、全株主の了承がなければ当該株の売買ができないと書かれているのかもしれない。

 

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