TBSドラマ「ホテルコンシェルジュ」のあり得ない設定はシラけるだけ

テレビ

小池優美[東京作家大学]
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この夏期クールのドラマは、熱血型の主人公が真正面から自分の仕事に取り組み、体当たりで難問を解決していく展開の話が多かった。
閉塞状況から抜け出せないでいる現在、ドラマから風穴を開けたいという制作側の意気込みだろうか? 作品も「スチュワーデス物語」(TBS・1983〜1984)を彷彿させる熱血職業ドラマの一つだ。
TBS「ホテルコンシェルジュ」の第8回は、「ホテル・フォルモント」でホテル専門学校生向けの合宿研修が行われることになり、主人公が配属されてきた学生の面倒をみるという話だった。
やってきたのは、やる気がない男子学生・保科と、想定外のことに直面すると極度に緊張して過呼吸を起こすという体質の女子学生・真島。二人は、各々が抱える問題からトラブルを起こし、従業員は振り回されてしまう。
正直、無理で不自然な設定の連続だった。
客に頭を下げるのが嫌だという学生や、客の前で過呼吸を繰り返す学生が、ホテルマン育成の専門学校に入学するだろうか?
母親が娘の研修先に宿泊した上、関係者に娘に諦めるよう、説得しろと依頼するのもおかしい。この二人の問題解決の転機となるのが、試合前の選手のスケート靴が壊れるという事件だ。
大事な試合の前に、替えの靴をもっておらず、真島が昔、スケートを習っていた時のコーチに直して貰うというのも実際にはあり得ない。
しかし、こうした様々な不自然さも蹴散らして前に進む主人公の勢いこそ、本作品の良さであるとも思う。振り切れば良いのに。振り切れば見るのに。
 
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