元モー娘。小川麻琴が東洋大で「アイドルの独立」を辛辣に講義
元「モーニング娘。」のメンバーで、2015年4月に芸能事務所アップフロントグループから独立し、フリーとして活動する歌手・女優の小川麻琴さんが、4月28日、東洋大学総合情報学部「メディア概論」(担当・藤本貴之教授)の外部講師として講義を行った。
モー娘。卒業後、2011年に企画されたモー娘。黄金期OGメンバーによる「ドリームモーニング娘。」の活動を経て、スマートフォン・アプリのプロデュースや大学講師など、元モー娘。メンバーの中でも異色な活動を続けてきた小川さん。東洋大学講義への登壇も2012年から始まり、本年度で5年目を迎える。
「女優・タレントという仕事」と題した講義では、アップフロントグループからの独立2年目となった近況から、アイドル時代の過去を振り返りつつ、これからのアイドルビジネスの展望も含め、メディアでは見ることのできない鋭い議論に、200人を超える学生たちは聴き入っていた。
13歳で「モーニング娘。」としてデビューして以降、グループアイドルとして武道館コンサートや紅白歌合戦への出場など、いわゆる「芸能人としての頂点」を極めてきた。その一方で、ソロになり、そして独立した今、かつての自分を振り返り、芸能人という職業や生き方に対して冷静に分析しつつ、「独立後のアイドル」のブランディングについても突っ込んだ講義を行った。
【参考】<アイドルの人権>「ファンとの恋愛禁止」の規約に裁判所が「ノー」(https://mediagong.jp/?p=14623)
多くのアイドルがそうであるように、グループや事務所に守られてきたかつての自分。そのことに感謝しつつも、そこに甘えてきた自分を強く律し、自分自身の地道なブランディングをゼロから進めることがソロとして独立した自分にとっては、最も重要なことであると小川さんは言う。
特に、「元アイドルの女優」というポジションの俳優が近年急増しており、かつてのような新鮮さが失われていること指摘。単に「かつて人気アイドルでした」というだけでは女優・俳優としての「次」がない厳しい現状を説明した。
舞台の大小を問わず、すべての舞台で、「次につながる芝居」を真剣に考えることが不可欠であることを痛感しているという。それを小川さんは、
「自分の居場所を自分で見つけなければならない。」
と表現する。そして、かつて自分が与えられていた恵まれた境遇、これまで「当たり前」だと思っていた環境が、「当たり前」ではなかったことに気づいたことが、現在の女優としての大きな転機となったという。
「あたりまえ」のように武道館や大きなステージに立てていた当時の自分が、その価値に気がついていれば、もっと良いパフォーマンスができていたはずだ、と反省する瞬間さえあるという。モー娘。時代の活動や活躍が、グループだからできたことであり、自分自身の力の小ささに、挫折の連続であったことを力説した。
そしてそれはほとんどのアイドルグループに当てはまるいわば「宿命」だ。
もちろん、講義で小川麻琴さんによって語られたことは、アイドルに限った話ではない。企業でも同じことが言えるだろう。企業の看板や多くの社員たちの集合能力があって初めて発揮できる「自分の力」。その地盤の重要性に脱サラしたり独立した後に気づかされる人は多い。
しかし、それに絶望して諦めるか、その反省と感謝から飛躍するかは本人次第である、ということも同様だ。
今年に入りすでに2本の舞台に出演している小川さんの現在の目標は、女優・小川麻琴として、ブランディング。何か一つでも確固たるものを作り上げるために、元アイドルというポジションや印象をいかに打破してゆくか、ということか課題だという。
頼れるものは何もない独立2年目を迎えた女優・小川麻琴さんの今後に注目したい。(メディアゴン編集部)
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