<2026年のおすすめ投資術>NISAや外貨にはない「仮想通貨」だけの決定的な価値とは
時田秀一(本誌ライター)
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「為替が動いた影響でNISAが下がった」
「外貨建て資産も同時に含み損になった」
そんな声を、ここ最近よく耳にする。2024年に新NISAが始まってからは特に、資産運用への関心はかつてないほど高まっている。一方で、株式も外貨も、為替や金利という「同じ大きな波」に飲み込まれ、一斉に下落する局面があることに不安を感じている人も少なくないのではないだろうか。
実は筆者自身、これまで株式や外貨を中心にポートフォリオを組んできた。しかし、世界的な金融引き締めや乱高下する不透明な市場を見るにつけ、株と外貨による分散投資という「当たり前の組み合わせ」が、為替や金利という荒波の前では、実は「当たり前ではない」ということに気づき、そのリスクの高さに恐怖すら抱くようになった。
こうった不可避な構造的リスクに気がついた時こそ、資産配分を見直すタイミング、良いきっかけではないだろうか。預けっぱなしの資産運用の時代はもう終わったと言えるだろう。
<「伝統資産とほぼ連動しない」という仮想通貨の価値>
今さら?と思われるかもしれないが、本誌では改めて「非連動資産」としての仮想通貨に注目してみたい。まず、ビットコインとS&P500の過去10年以上のデータを見ると、相関係数は概ね0.2~−0.1程度で推移してきた。これは数字的には「ほとんど連動していない」ことを意味する。
もちろん、株式市場が不安定な局面で、仮想通貨が別の動きをするケースは少なくない。実際、2023年の米国銀行危機の際には、株式が下落する一方でビットコインは20〜30%上昇したという局面もあった。
さて、2026年に入り、ビットコインは大きな転換点を迎えている。
ビットコインの発行上限は2100万BTCと定められている。2140年頃にすべてのマイニングが完了する見込みであるが、2026年1月時点で約95%が発行済みという状態だ。この供給アルゴリズムが変更されることはない。このアルゴリズムの凄さは、ゴールド(金)でさえ、価格が高騰すれば採掘効率が上がり供給量が増える可能性があるのに、仮想通貨は現物資産ではないにも関わらず、仕組み上、絶対に増えることがない。
この「希少性の設計」こそが仮想通貨の価値の源泉であり、他の通貨や株式とは本質的に異なっている点だ。中央銀行の政策によって発行量が変動する法定通貨とは違い、ルールがあらかじめ決められている。法定通貨がインフレで価値を減らし続ける中、発行ルールが固定されたビットコインは、究極の「価値の保存手段」となる。供給が絞られ、機関投資家による保有が加速する今、市場に残された5%を取り合う「椅子取りゲーム」のようになっているのだ。発行上限に近づくほど、1BTCあたりの「希少性の純度」は極限まで高まっていくと予想できる。つまり、今のうちに持っておくことが賢い選択肢だとも考えられるわけだ。
<同じビットコインでも「どこで持つか」が違いを生む>
「すべての資産が同時に下がるリスク」の回避としてまず言われているのが、ポートフォリオの3〜5%を非連動資産である暗号資産に振り分けるという戦略である。筆者もこの割合には同意だ。いきなり資産の2割も3割も仮想通貨に変えてしまうような人がたまにいるが、それはそれでハイリスクである。少なくとも、自分が初心者のフィールドいきなりすべきではない。
大きく賭けるのではなく、戦略的に組み入れる。これが成熟した投資家の視点である。さて、そうなると次は「どこで仮想通貨を持つか」、すなわち契約する取引所選びが重要になる。初心者であれば取引所選びが生死を分けるような結果になってしまうから侮れない。
では、実際に仮想通貨を組み入れるとしたら、どの取引所を選ぶべきかを考えてみたい。「取引所なんて、どこも同じ」という考えは速やかに捨てて欲しい。同じコインを持つにしても、環境次第でリターンは大きく変わるからだ。
まず注目すべき見極めポイントである「運用条件」はステーキングとレンディングの2つだ。

<見極めポイント① ステーキング>
ステーキングとは、保有する暗号資産をネットワークに預けることで報酬を得る仕組みである。ようは預けているだけ利益を産むサービスであるが、これは全ての銘柄に適応されるわけではない。つまり、取り扱い銘柄の数で、そのリターンの可能性も変わるというわけだ。しかも、ロックアップ期間(売却や送金ができない期間)の有無も、リスク回避としては無視できない。
主要取引所のステーキングの取り扱い銘柄数は以下の通りだ。(2025年12月本誌調べ)
14銘柄:SBI VCトレード(ロックアップ期間なし)
11銘柄:OKJ(ロックアップ期間あり)
10銘柄:コイントレード(ロックアップ期間あり)
8銘柄:ビットポイント(ロックアップ期間なし)
7銘柄:GMOコイン(ロックアップ期間なし)
1銘柄:ビットフライヤー(ロックアップ期間なし)
1銘柄:コインチェック(ロックアップ期間一部あり)
取り扱いなし:ビットバンク、楽天ウォレット
まず、銘柄数で頭ひとつ抜けているのはSBI VCトレードの14銘柄である。次にOKJ(11銘柄)、コイントレード(10銘柄)が続いている。しかし、ここで要チェックなのは、ロックアップ期間の有無だ。取り扱い銘柄数2、3位はロックアップ期間が「あり」なのに対し、1位のSBI VCトレードは「なし」である。取り扱い銘柄数で優っている上に、ロックアップ期間なし、という設定である。
この比較であれば、ステーキングで圧倒的に有利なのはSBI VCトレードということになるだろう。
<見極めポイント② レンディング>
レンディングは、保有する仮想通貨を貸し出し、その対価として利息を受け取る仕組みである。ようは、自分が口座に保有している仮想通貨を取引所に貸し出すことで、そのレンタル料を受け取るという運用方法だ。
主要取引所の最大年率の比較は以下である。(本誌調べ)
SBI VCトレード:最大20%
GMOコイン:10%
コインチェック:5%
ビットバンク:5%
ビットフライヤー:3.05%
同じ資産を持つなら、より効率的に増やせる環境を選ぶことは合理的、という発想に立てば、レンディングの年率は無視できない取引所選びの要素だろう。その点から見れば、SBI VCトレードの20%は圧倒的だ。2位のGMOコインの10%とダブルスコアの差である。
しかし、高利回りが狙えるステーキングとレンディングのダブルで運用を前提とすれば、GMOコインのステーキング取り扱い銘柄は7銘柄といささか心許ない。
その意味では、ステーキング1位(14銘柄)とレンディング1位(年率20%)の組み合わせを考えると、SBI VCトレードがダントツで投資家にやさしい取引所ということになる。
<安心材料には実績も考慮>
さて、次のポイントは日本人的な感覚かもしれないが、「安心感」である。日本人は投資や金融商品を「ギャンブル」と捉えがちだ。そのため、投資にも「安心感」を求める民族性だ。
しかし、筆者としては、日本人ならではの「投資に求める安心感」も確実な資産運用をするためには重要な要素であるし、攻めの投資をしたい人でも、意識して欲しい要素であると感じている。もちろん、リスクヘッジ的な要素がある代わりに利回りが低くなるようでは本末転倒だが、個人投資家が確認できる範囲での安心感は確保すべきだろう。
その最も簡単な方法はやはり「客観的な実績の数字」である。公開されている実績数値を確認するだけなので、これは誰にでも簡単にできるが、安心感を実感するにはこれ以上にないものだろう。
例えば、先ほどの、ステーキングとレンディングで比較1位だったSBI VCトレードで見てみよう。
まず、SBI VCトレードの場合、前提として、SBIというメガ金融グループを母体とする堅実な経営基盤と厳格なコンプライアンス体制がある、という前提がある。この前提をもとに、公表されているSBI VCトレードの「実績数値」は以下となる。
・口座数:1,200万口座超
・預かり資産:5,000億円超
・預かり資産の成長率:半年で約2.5倍
この数値はもちろん、客観数値であるため、ここから個人投資家が予測できる安心感は、「SBI VCトレードは人気である。しかし、その人気は一時的な話題性ではなく、多くの投資家が実際に資産を預け、継続的に利用している結果だ」というものだ。もちろん、マイナス要因の数値があれば、そこからリスク予測、すなわち「安心できない感」も実感できるはずだ。
つまり、安心感という点においては、「制度面の整備と利用者の支持という二つの裏付けがある」とか「長期的に資産を預けるなら安心かな」といった安心実感が可能となる。
<2026年、分散投資の再設計を>
NISAや外貨は、長期投資において重要な役割を果たす。一方で、それだけではカバーできないリスクがあることも忘れてはならない。そのためには仮想通貨のような非連動資産も運用資産全体の3〜5%程度は組み入れることも検討することで、安心感や安定性はぐっと引き上がる。特に、新しい投資方式には新しいサービスがあることも忘れてはならない。ステーキングやレンディングといった機能を活用することで、利回りはさらに高まるが、見落としているようでは単なる利益損失だ。
特に、取引所選びによって、利回りやリスクは大きく異なる。同じコインを持っていても、環境次第でリターンは大きく変わる。その意味では、資産形成とは、単に商品を選ぶ行為ではなく、環境と仕組みを選ぶ行為でもある意識をもつことが重要だ。
価格の上下に一喜一憂するのではなく、どの資産を、どの比率で、どの器に置くのか。その設計次第で、数年後の景色は大きく変わる。分散とは「数を増やすこと」ではなく、「性質を分けること」だ。その視点を持つことが、これからの投資家に求められている。
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