流行語大賞と資本主義

エンタメ・芸能

植草一秀[経済評論家]

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今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が開催された。

阪神タイガースの今季のスローガンで岡田彰布監督が発した「アレ(A.R.E)」が年間大賞に選ばれた。大賞を含むトップ10は以下の通り。

*新しい学校のリーダーズ/首振りダンス
*アレ(A.R.E)
*OSO18/アーバンベア
*蛙化現象
*生成AI
*地球沸騰化
*ペッパーミル・パフォーマンス
*観る将
*闇バイト
*4年ぶり/声出し応援

ノミネートされたがトップ10に入らなかった言葉に、

*エッフェル姉さん
*NGリスト/ジャニーズ問題
*性加害
*藤井八冠

などがある。

新語・流行語大賞は株式会社ユーキャンと株式会社自由国民社が主宰する事業。株式会社ユーキャンの主要取引先は株式会社電通、株式会社博報堂など。ユーキャンは生涯学習のプログラムを取り扱うが生涯学習には巨額の財政資金が投下されている。つまり、純粋にその年の世相を表す言葉を選び出しているものではない。

2023年の世相を反映させるなら、NGリスト/ジャニーズ問題、性加害、エッフェル姉さん、などの言葉が外されることなど考えられない。また、前人未踏ぶりで藤井八冠の右に出る者はいない。流行語大賞を電通、博報堂が幅を利かすマスメディアが大きく取り上げるが、中立・公正の立場から選択されている言葉ではない。

興ざめの流行語大賞だ。

特定の利害関係者が関与しない市民レベルの流行語大賞を別に創設することが望まれる。その時点の世相を、象徴する言葉で残しておくことは重要だからだ。ジャニーズ、議員海外旅行、藤井聡太活躍を2023年の日本世情として刻印しておくことが必要だ。

 

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