<SMAP独立は野村義男に学べ>なぜ独立して消えるアイドルが多いのか?

エンタメ・芸能

矩子幸平[ライター]
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アイドル産業は、日本に残された最も古典的な業界の一つだ。
どんなに人気があったアイドルでも、アイドル事務所から独立した後も、その人気を継続させることは難しい。いわゆる「干される」という状態もさることながら、業界ルールとして、他の芸能プロダクションや制作会社も「独立したアイドル」をすぐに起用することは難しい。ギルド性のようなものが続いている世界なのだろう。
現在話題となっている「SMAP」の分裂・独立騒動。木村拓哉以外の中居正広、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の4名が、「育ての親」であるマネージャーとともに、ジャーニーズ事務所から独立するという。
なぜ木村氏だけが残るのか、という点については様々な見方があるが、冷静に考えてみれば、木村氏はいわゆる「妻子持ち」。この点が、他のメンバーとは異なる。やはり、妻子を抱えて「冒険」はできないのではないか、と考えることもできる。
さて、ジャニーズ事務所を離れ独立したアイドルは数多いが、独立後も露出と人気を維持できている人は少ない。一方で、年をとってもジャニーズ事務所に所属し続けている「アイドル(という肩書きの中高年タレント)」たちは、今をもって一定の「トップアイドルの頃の権威」を保ち続けている。マッチこと近藤真彦、少年隊などがそうだ。
ジャニーズ事務所から独立して、「元アイドルを利用したビジネス」に走ることなく、現在も活躍できている人たちといえば、「シブがき隊(布川敏和・本木雅弘・薬丸裕英)」と「野村義男(たのきんトリオ)」ぐらいなものだ。
時代を象徴する飛ぶ鳥を落とすようなアイドルは多々いたが、独立後でも芸能界で一定の活躍を見せているのは、「シブがき隊とよっちゃん」ぐらいというわけだ。
特に、独立後もジャニーズ事務所との関係を保ち、ジャニーズタレントとの共演を実現しているのは、野村義男ぐらいなものだろう。KinKi Kidsの番組にレギュラー出演したり、そこでバンドを結成したりといった活動ができている野村氏はジャニーズ独立組でも稀有な存在だ。
ではなぜ、野村氏はそのような「独立」を実現することができたのだろうか。
ジャニーズ事務所を離れた野村氏は、すぐに独立・移籍はしていない。まずはジャニーズの系列会社である音楽著作権管理会社「ジャニーズ出版」に入社する。その後、段階的に現在の所属である「コンポジラ」へとシフトしている。
つまり、流れとして、一度、ジャニーズ事務所所属のタレントを「引退」して、関連子会社の音楽著作権管理会社に「入社」し、一般人となった後に「退社」して個人事務所で「芸能界復帰」をした、ということになるわけだ。形式上、ジャニーズから独立したのではなく、「引退した元アイドルが、サラリーマンを経て、ギタリストとして芸能界復帰した」ということになる。
その後、紆余曲折はあるものの、結果的にはジャニーズアイドルとの共演ができるような関係での「独立」を成立させたことになる。浜崎あゆみのギタリストを務めるなど、「元アイドルを利用したビジネス」をすることもなく、ミュージシャンとしての十分なキャリアや立場を形成して現在に至っている。
ここで重要なことは、野村義男氏が非常に多くの時間と労力をかけて「独立」を実現させている、ということだ。
さて、SMAPの「独立組」はどうだろうか。筆者には「分裂・独立」はいささか早計であるように感じる。現段階でSMAPが「分裂」し、そして「独立・移籍」することで、独立組が得られるメリットはあまりないように思えるからだ。
いづれにせよ、今後の動向に注目したい。
 
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