<「SMAP解散報道」は炎上商法>再び売れ始めた「世界にひとつだけの花」
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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今、世間を賑わせている「SMAP解散報道」。この事態になって曲「世界にひとつだけの花」(作詞/作曲・槇原敬之)が、また売れ始めているという。さる情報番組では、「ファンの解散して欲しくないという気持ちが集まっている」と、したり顔で解説するキャスターがいる。
結果的にかどうかはどうでもいいことで、SMAP解散報道が炎上商法になっている。SMAP利権の関係者のなかで「これでまた歌が売れるぞ」と思わなかった人がいたら、その人はビジネスセンスのない人だ、と断罪されるのが今の強欲資本主義の世の中だ。
そもそも「世界にひとつだけの花」という曲が筆者は嫌いである。
なぜなら説教臭いからだ。槇原がLGBTなど、少数派を頭に思い描いて作ったのだと言う説を披露する人もいる。歌詞は「あなたはもともとひとつの個性を持って生まれたのだから一番など目指さなくて良いんだよ」と歌っている。そんな説教をきれいなメロディで包み隠して言わないでくれと、筆者は思う。
「一番を目指さないのだったら、個性とかキャラとか言われるモノを、持たなくてはならないんだ」と若い人に思わせてしまったエンターテインメントのひとつがこの歌だ。
- 中居正広(43歳) チャラ男バラエティキャラ
- 木村拓哉(43歳) イケメン俳優キャラ
- 稲垣吾郎(42歳) 昔風ハンサムキャラ
- 草彅剛 (41歳) いい人キャラ
- 香取慎吾(38歳) やんちゃ坊主キャラ
- (元メンバー)森且行(41歳) 普通の人/オートレーサー
繰り返すが、これらのキャラは芸能人と言う人気商売だから必要なのであって、普通の人は個性やキャラを無理に持つ必要はまったくない。個性とかキャラが必要なのは特殊な芸能の世界においてのみだ。普通の人には要らない。
プロパガンダは娯楽の顔をしてやってきて、人の心を独裁する。
メディアの報じ方も面白い。ニッカンとスポニチは情報源が違うのだろう。ニッカンは木村側に立った報道で解散やむなしの強気、スポニチは中居以下、四人に反省の気持ちがあるという、記事ではなく中居の代弁者のような中居の弁解を綿々と綴る気持ち悪い報道である。
こういうときは、通常裏を取ると言うことをやるわけだが、裏を取るという基本的なことは芸能マスコミでは機能しない。
利権の中心テレビは、相変わらずの「触らぬ神にたたりなし」報道である。一般紙は「おつきあいしました」報道である。
ちなみに筆者が好きなSMAPの楽曲は「セロリ(作詞・作曲:山崎まさよし)」である。
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