<なぜ、テレビは「陰謀論」が好きなのか?>「東日本大震災地震兵器説」がテレビで流れる日も来る?
高橋秀樹[放送作家]
2014年6月27日
テレビは「もっともらしい陰謀論」が大好きである。
「テレビが好んで取り上げる」ということはつまり「見る人の中にも好きな人が多い」ということである。
古くは、「アポロの月着陸はアメリカのスタジオで撮影されたものだった」、「米軍基地エリア51には捕えられた宇宙人がいる」などというものから、「ダイアナ元英国皇太子妃暗殺説」まで、忘れたころに、もっともらしく作り上げて、繰り返しドキュメンタリータッチで放送する。天皇に関する陰謀論もあるがこれはテレビの性質上取り上げられることはない。
人はなぜ陰謀論が好きなのか。他者の成功が妬ましいからである。成功したあの人の不幸は、あの国を見舞った不幸は、何事かの罰(バチ)に当たったに違いないと思いたいからである。
そもそも、陰謀論の発生は、
- 人間が何事にも偶然はない
- 何事も表面とは異なる
- 何事も結託している
という幻想を信じているからだ、という説があるが、この3点、裏返してみれば、そうも思えるという脆弱な幻想である。
即ち、
- 何事も偶然に支配されている。
- 何事も表面に見えたものだけが真実だ
- 何事も結託などしていない。
前者の3要素が世の中だとしたら、怖くて夜も眠れない。 テレビで放送する陰謀論は、罪のないものなら許そうという気分が、ぼくにはある。
だが実害を伴う間違いは決して許せない。「自閉症水銀起因説」など、何度間違って取り上げられたことか。
まさしく「陰謀論は忘れたころによみがえる」のである。 まだ、生々しくて誰もやれないが、「東日本大震災地震兵器説」などというものが、「ネットの落書き」の域を超えて、テレビに取り上げられる日が来るのだろうか?
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