<テレビニュースの敗因>テレビは「リード文」を上手に書ける記者を育ててこなかった
高橋秀樹[放送作家]
2014年7月11日
テレビニュースで言うところのリードとは、アナウンサーやキャスターが読む本編のニュースの前フリである。リードはもともと英語で「Lead」。新聞や雑誌では、「記事の概要を書いた文。前書き。前文」のことである。
そもそも、新聞用語だったものをテレビニュースが拝借して使うようになった言葉であるが、実は、テレビのリードは、新聞のリードと性格が違う。
このリードが上手に書ける記者をテレビは育ててこなかったのではないか。
テレビのリードのもっとも大切な要点は、本編のニュースが見たくなるよう、視聴者に思わせることにある。新聞の場合は前述のように「記事の概要」であることが必要である。なぜなら、忙しくて長い本文が読めない時に、リードだけ読んでおく、という使い方が、なされることが多いからである。
一方、テレビニュースでは、リードだけ聞いて、あとは見ないという使い方をされることは決してない。リードを聞いて次の本編を見たくなる文章技術が要求されるのである。新聞で言えば見出し、週刊誌で言えば中吊り広告の役目を果たさねばならないのがテレビニュースのリードである。
「原子力規制委員会が、福島第一原発の汚染水もれを防ぐため建設中の凍土壁の実現性に疑問を呈しています」 より 「福島第一原発の凍土壁、凍らないかもしれません」 のほうが、ずっといいのである。
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