<男性ファーストと選挙権>女性差別に天皇を利用する参政党

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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参政党・神谷代表「産めない」発言が物議 国民が忘れない森・麻生・菅元首相たちの「ヤバい」発言(週刊女性 7月4日)。

フェイクではない。さきの都議選で注目された参政党だが、とんでも差別者のサロンであることが判明した。参院選での街頭演説(7月3日都内)、同党神谷宗幣代表の発言に聴衆者は驚愕している。

もともと同党は「日本人ファースト」と、米国のトランプ流だが、選挙運動中の代表発言となれば自滅か。さらに「天皇に側室を」の発言には、宮内庁が抗議してもおかしくない。

「女性は産む機械」ではない。この種の差別発言では自民党女性議員の杉田水脈の発言「子どもをつくらないのは生産性がない」が思いだされる。

しかし、不思議なことに、同党の女性立候補者数がダントツに多いのだ。公党ながら、国籍、性差に露骨な差別を党是とするヘイトな集団だが、矢面の女性が多いのが気になる。「私は違うから」というのか? 今回選挙では女性候補者152人は全体の29%で過去の参院選2番目の多さで、各政党別の人数では24人を擁立した同党が最も多い。政策より承認欲求?! の女性をスカウトしたか。

「女子アナは良質なキャバ嬢」と発言した元・フジテレビの幹部のように、女性蔑視の世界はいまも堂々と生きている。

同党の神谷代表は「高齢の女性は子供が産めない。だから日本の人口を維持しようと思ったら若い女性に子供を産みたいなとか子供を産んだ方が安心して暮らせるなという社会状況を作らないといけない。少しバランスを取って大学や高校を出たら働くこともいいし、家庭に入って子供を育てるのもいい。生物学的に女性はどこかで限界が来る。」

「生物学的」? 妊活なんて不経済だ。高齢出産なんてやめろ、と言わんばかりだ。子どもができない、子どもはいらない、生涯独身などもってのほかだと。主張には戦中の「産めよ増やせよ」が蘇っている。

我が国の女性が選挙権を得たのは1946年(S21)4月10日衆院選。戦後、ようやく人としての権利が認められた。1380万人の女性が初めて投票している。

長年に亘る、命を懸けた多くの女性の戦いがようやく日の目を浴びたことだった。戦後80年、日本の女性の権利を再び戦前に戻そうというのか。差別集団に我々の血税である政党助成金がいってはいけない。

メディアは風見鶏か。政党の言い分を垂れ流すだけか。「選挙予測」が怪しい。報道する側として人権がどうか!! をいまこそ正面から語らなくてはいけないときだ。

 

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