<千葉女児殺害で保護者会の会長逮捕>「知らない人についていかない」は機能しない?

社会・メディア

水野ゆうき[千葉県議会議員]

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筆者の地元である千葉県我孫子市北新田の排水路脇の草むらでベトナム国籍の小学3年レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)=千葉県松戸市六実=の遺体が見つかった殺人死体遺棄事件で、千葉県警捜査本部は4月14日8時12分、リンさん宅の近くに住む澁谷恭正容疑者(46歳)を死体遺棄容疑で逮捕した。

我孫子市内でも多くの保護者からまずはホッとした、という声が聴かれた。北新田という場所は筆者の自宅から車で約10分程度であるが、ほとんど人がいない場所である。筆者は生まれた時から我孫子市にいるが、地元議員の私ですら車で通る以外北新田に行ったことはない。我孫子市民ですら北新田は馴染みがない地域だろう。

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逮捕に至ったのは、現場の遺留物のDNAの型が澁谷容疑者のものと一致したことによるという。被害者のリンさんはどれほど怖かっただろう、と思うと胸がつぶれそうになる。

千葉県松戸市教育委員会によると、逮捕された澁谷容疑者は、女の子が通っていた松戸市の六実第二小学校の保護者で作る会の会長を務め見守り活動も熱心であったという。

始業式で挨拶まで行っていたという情報も出てきており、地域住民に衝撃が走っている。しかも、会長名(澁谷恭正容疑者)でリンさんの遺体をベトナムに搬送するための募金活動まで行っていたというのだから驚きを隠せない。

筆者は地元我孫子市の大規模自治会で副会長を務め、極力自身の学校区の行事には顔を出すようにしている。地元が行うイベント等にも防災や防犯という観点から地域住民との連携をとる活動に重点に置き、安心・安全な地域づくりに務めている。事件後は、我孫子市としても地域の市民に通学の見守りを促し、防災行政無線やメール配信等で見守りをお願いしていた。

今回の事件で何が問題であったのか。それは、一番信頼できるはずの「保護者会、地域の人、見守り隊」という安心要素がすべてそろった人物による犯行容疑であった、ということだろう。

子どもたちはみんな澁谷容疑者の顔を知っていたとのことだ。リンさんと顔見知りであった可能性も非常に高い。松戸市教育委員会によると、事件後、リンさんが通っていた小学校では登校時間を限定する集中登校を実施し、通学路の見守り活動を強化し、始業式に防犯ブザーを使う練習も行われたという。

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子どもたちを守るすべての活動は地域や保護者の善意の行為。それを全てを覆すようなまさかの結果に、これからの見守りのあり方などを再考する必要があり、活動に影響が及ぶ事件である。

「知らない人にはついていかないように」という注意喚起が機能しなくなる懸念も大いにある。保護者会の会長職に自ら手をあげたとのことだが、PTAや見守りというものはすべてボランティアによる子どもを守るという善意から成り立つべきであり、ほかにいかなる「思惑」があってはならないのだ。

アメリカのようにスクールバスの導入や子供たち自身の安全教育の強化等、保護者間では様々なアイディアが浮かんでいるという。

地域に根付いて活動している筆者から見て、一つ確実に言えることがある。それは、頻繁に地域の人と関わっていれば、ちょっとした変化があれば、必ず「いつもとは違う点」が見えてくるということだ。

実際に澁谷容疑者のおかしな様子(いつもある容疑者の車がないなど)に気付いて、近所の地域の人たちが事件解決に協力している。

犯人は決して許されないが、我々の新たな視点での監視の目を再認識させられた事件であった。改めてリンさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

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