<創業者一族もギャグにできた?>「週刊文春」不人気ランキング1位のフジテレビに思い出して欲しい「かつての勢い」

社会・メディア

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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80年代のことになるが、筆者は「オレたちひょうきん族」(フジテレビ・1981〜1989)のコーナー「タケちゃんマン」で、阿佐田哲也・原作、和田誠監督の「麻雀放浪記」のパロディを書いたことがある。
ポーカーの場面。台本に、男が自信を持って「横澤」(番組プロデューサー・横澤彪)のスリーカードをテーブルにオープンすると、相手が「鹿内」(フジテレビ創業者一族)のワンペアを出したので、文句なく負け・・・と言うギャグを書いたことがある。
台本を持って行った時点で、これは没にされる可能性があるなと思っていたが、ディレクターは笑うだけ。しかし、結局、何の問題もなく通過して放送された。
あの頃のことをフジテレビは思い出して欲しい。
自由だった。編成局などと言う組織があること自体を放送作家の筆者は知らなかった。その頃の編成局は、番組の編成をしていたのであり、制作現場に口は出さなかったからだ。
局員は給料が出ると局内窓口で社内貯金をするのが決まりだったし、資金が潤沢であったとは思えない。でも、自由にものが作れる雰囲気だけはあった。当時のフジテレビで当たっている番組と言えば「夜のヒットスタジオ」くらいしかなかったように思う。
こんな事を思い出したのは、週刊文春の嫌いなテレビ局ネットアンケートでフジテレビがダントツの1位になったからである。このアンケートは同誌のメルマガ読者対象だから、もちろん、データの読み方には色々注意を払うことが必要だ。
それを分かった上でもこのデータはあの活気のあるフジテレビの局内を知っているものにとってはショックだ。凋落という言葉がふさわしい。
いろいろな理由があろうが、この状況を見て、筆者は「ブレている」と言う理由を真っ先に思いつく。それからコンプライアンスの影響を最もモロに受けているのではないか、と言うことも思いつく。「笑いを正面に見据えた番組がフジテレビの真骨頂だったのに・・・」と言う言葉も思いつく。
こういう状況を打破するためには「逆張り」である。多くの人が言うことの逆をやればいいのだ。「逆をやる」には、信念と多少のお金に関する選択集中が必要だ。これはギャンブルの鉄則でもある。
ちなみにこのテレビ局ランキングをNHKと東京の民放キー5局だけを抜き出して引用する。点数は1位を6点にして、筆者が勝手に付けて、総合点を出してみた。
「好き部門」

1位 NHK    6点

2位 テレビ東京  5点

3位 日本テレビ 4点

4位 テレビ朝日 3点

5位 フジテレビ 2点

6位 TBS    1点

「嫌い部門」

1位 フジテレビ 6点

2位 NHK     5点

3位 テレビ朝日 4点

4位 日本テレビ 3点

5位 TBS    2点

6位 テレビ東京 1点

この点数を足してみると次のようになる。これは注目度という指標かも知れない。詳しいことは説明しないが、実は統計学的には大変意味のある操作である。
「好きでも嫌いでもある部門」

1位 NHK   11点

2位 フジテレビ 8点

3位 日本テレビ 7点

3位 テレビ朝日 7点

5位 テレビ東京 6点

6位 TBS    3点

筆者は放送作家としての性か、やはり逆張りが好きだ。そして、筆者が今一番仕事をしたいのは、苦戦ばかりが話題になるフジテレビとTBSである。チャンスが多いのはTBSとフジテレビなのである。
 
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