[茂木健一郎]<SMAP目線で考える>逃げ場のないかたちでがんばるのが「アイドル」

エンタメ・芸能

茂木健一郎[脳科学者]
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SMAPの方々とは、現場で何回かご一緒したことある。私とSMAPでは、ルックスもパフォーマンスも月とスッポンで、彼らの立場とか、心とかを想像することはできないけれども、それでも、敢えて、「SMAP目線」でものを考えてみたいと思う。
SMAP目線で考えれば、それぞれの現場で、自分のベストを尽くす、ということ以外にはないはずである。誰が持ってきた仕事だとか、どんな演出上の指示があったとか、そういうことは、結局、ファンの目には直接は映らない。
ファンが直接目の当たりにするのは、SMAPのメンバーたちのパフォーマンスだけで、それをいちばん良いものにしようと、メンバーたちは心を砕くはずである。それ以外に、仕事の質を上げる方法はないからである。
先日、「SMAPとジャニーズ事務所」というタイトルでブログを書いたら、さまざまなご意見をいただいた。日本の芸能界のあり方や、社会のあり方についてのご意見については、ごもっともと思う部分もあるが、とりあえず、現場でがんばるしかない。
現場という「文脈」を引き受けて、逃げ場のないかたちでがんばるのがアイドルで、しかしそれは社会の中のあらゆる仕事がそうだと思う。
そして、そのような「文脈」自体がどうなのか、という議論はもちろんあっていいが、それは現場の覚悟とは、また別の話である。
文脈うんぬんの話は別として、いったん引き受けることに決めた現場で全力を尽くすというのは、アイドルにかぎらず、すべての仕事、生活でそうである話であるはずで、「SMAP目線」は、実は、誰にでも思い当たる、生きる上での第一原理のようなものだと思う。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 
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