アカデミー賞映画「メッセージ」に見るハリウッドの中国狙い
メディアゴン編集部
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渋谷の単館で上映中の本年度アカデミー賞音響編集賞受賞「メッセージ」(監督・ドゥニ・ヴィルヌーヴ」を見た。日曜日13時の回で5割の入り。原題は「Arrival」意味は到着、到着便、着荷、新生児などである。映画の内容はこれらすべての意味を包含していると思われる。
事前に知っていた情報は2つ。
原作が「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫SF)」であること。本作は、寡作ではあるが決してレベル以下のものを書くことがないとの評判のテッド・チャン (Ted Chiang)によるSF短編小説である。もうひとつは「難しいかも」という知人の評である。
難しいからだろうか。渋谷でもシネコンのラインナップには並ばない。物語の大筋はこうだ。
「突如地球の12箇所に降り立った、巨大なレンズ型の宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、『彼ら』が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく」
そのルイーズは任務遂行中にフラッシュバック(止めても止まらない脳に浮かぶ映像である)に襲われる。一体そのフラッシュバックの意味はなんなのかが第一の見所である。
もうひとつはルイーズが目の当たりにする知的生命体の造形である。良い映画なのに、この造形は映画の傷である。想像の範囲を出ないからだ。
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これ以上はネタバレになるので書かないが、筆者には映像が描く意味はよく分かった。「難しいことはない」というのが率直な感想である。映画を見終わったあと、原作がたまらなく読みたくなったのでKindleで直ぐに読んだ。
その結果、「読んでから観るか、観てから読むか」ということには気になるところだろう。本作に関して言えば、筆者がお勧めするのは「観てから読む」である。映画では疑問が残ることに、明確な回答を出してくれるからだ。
ところで、映画版でレンズ型の宇宙船は、日本では北海道に着陸するが、その事実に触れられるだけである。危機を救うのは上海に下りた宇宙船に対していた中国軍である。今やハリウッド映画が日本より中国をターゲットにしていることがよく分かる設定だ。
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