<日本脚本アーカイブズの試み>終わったら捨てられる台本や脚本をどうやって保存してゆくか

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南川泰三[日本放送作家協会理事/文化庁芸術祭賞審査員]

 
「脚本・台本は貴重な放送文化資産である」とおっしゃったのは、かつての放送作家協会の理事長で、今は亡き脚本家の市川森一さんです。
4月17日から国会図書館に寄贈された脚本・台本が永田町の東京本館で公開されているのを御存知でしょうか? 公開時、読売新聞その他でも大きく取り上げていました。
その中に「このままでは資料が散逸してしまうと危機感を持った日本放送作家協会は2005年に日本脚本アーカイブズ準備室を設置し、脚本・台本の収集をはじめた」とあります。僕はその日本脚本アーカイブズの初代委員長を務めました。
当時、理事長だった市川森一さんの提唱でスタートし、当時、同協会の常務理事だった僕が委員長を仰せつかったのです。その後、脚本アーカイブズ委員長は香取俊介氏に受け継がれ、紆余曲折がありましたが、ついに脚本が一般公開されることになり、感無量です。
同準備室で収集した脚本・台本は約5万冊。そのうちおよそ半分が国会図書館に寄贈され、残り半分は川崎市民ミュージアムに寄贈されました。
国会図書館に寄贈された分は今年の4月に公開されましたが、川崎市民ミュージアムの方も年内公開を目指しています。僕は川崎市民としても何かお力になれればと思っています。テレビ番組はその後もどんどん放送され、脚本・台本も増え続けていますが、保存するという気運は高まっていません。
何とか脚本の保存が継続して欲しいと願うばかりです。
 
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