宮里藍引退の理由は「モチベーションが維持できない」から
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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大ファンの宮里藍選手(31歳)が引退を表明した。
5月29日、都内ホテルでの記者会見では、引退の理由として「モチベーションの維持が難しくなった」と語った。女子ゴルフの元世界ランキング1位で、米ツアー通算9勝、国内15勝をの実績を持つ宮里藍選手のこの引退理由は非常に重い。
モチベーションとは「意欲の源になる動機」のことだ。だとすると宮里藍選手は世界で伍して女子ゴルフ界で戦っていく意欲が、出なくなってきたと告白したのである。
その活躍ぶりを見れば、ただただ頭が下がるのみである。そのモチベーションの維持は我々には想像も出来ないたいへんさであっただろう。
【参考】<誰も言わない謎>なぜフィギュアスケートは音楽と演技が合っていないのか?(https://mediagong.jp/?p=15042)
ところで・・・と考える。
あらゆる人の行動はがモチベーションによって維持されているとしたら、安倍晋三首相は何をモチベーションに憲法を変えようとしているのだろうか。何をモチベーションに共謀罪を成立させようとしているのだろうか。何をモチベーションに前川前文部事務次官の証人喚問を拒んでいるのだろうか。
何をモチベーションにトランプ大統領と仲良くしているのだろうか。そのトランプ米大頭領は何をモチベーションに身内を側近に起用するのか。何をモチベーションにアメリカが一番だと言い続けるのか。
金正恩朝鮮労働党委員長は何をモチベーションにミサイルを撃ち続けるのか。習近平中国共産党総書記は何をモチベーションに北朝鮮を座視するのか。小池百合子都知事は何をモチベーションに都民ファーストの会を結成したのか。ヘイトスピーチを行う人たちは何をモチベーションにこれを行うのか。
心理学的には、モチベーションは2つの要因から成っているとされる。
一つは「動因」(ドライブ)。人の内側から行動を引き起こすもの。たとえば「家族を守る」などだ。もう一つは「誘因」(インセンティブ)。人の外側から人の行動を誘発させるもの。たとえば「賞金」だ。
「動因」と「誘因」が合わさってモチベーションになっていると考えると、世の中の人の行動の背景が少し見えてくる気がする。
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