<EdTechって何?>ITの進化がこれまで教育とは縁のなかった企業が教育分野へ参入を引き起こす[連載2]ITの進化と教育

皆倉宣之[千葉学習塾協同組合・理事]

 
教育という分野は、普通の産業上の分類でいえば第三次産業に属するサービス業に入りますが、同じサービス業でも外食チェーン業界とか不動産業界とはかなり異なったイメージがあります。ましてや第二次産業であるIT業界とか自動車工業界などとは、はっきりと異なる分野に属しています。
教育分野の特性は、日本の歴史上の位置づけによるところと、日本国憲法上の位置づけによるとろが大きいのではと思われます。すなわち、戦前は富国強兵の手段として教育が利用され、国策としての教育を国家が独占していたわけです。
ところが、第二次世界大戦後は「社会権」という新しい人権概念のもとで、社会保障や労働権と並んで教育権(正確には子どもたちの教育を受ける権利)が規定されました(憲法25条から28条まで)。つまり、教育は国への国民の権利となり国が責任を負うように義務付けられたわけです。
ここから、公教育は国が責任を持って行うサービスということになり、自己責任で利益を追求する他の業界とは一線が引かれることになるわけです。その一線を分ける境界が、規制緩和の流れとITの進化により、崩れつつあるのです。
これまでも民間教育産業ということばはありました。塾や予備校はもちろんその代表格ですが、通信添削を行う会社や教材を販売する会社などがその例です。
もちろん、これらが加熱する受験競争を足場に肥大化してゆき、2000年ごろまでは公教育を乱す邪魔者として敵視されたり睨まれたりしていましたが、それ以降は公教育を支える教育機関と見なされるようになり、今日ではその役割が行政にもマスコミにも肯定的に評価さるようになりつつあります。
でも、ここには公と民の違いはあれまだ同じ教育分野だという共通項があります。
ところが、ITの進化はこれまで教育とは縁のなかった企業が教育分野へ参入してくるという事態を引き起こしつつあるのです。いわゆる異業種の参入です。
彼らにいわせると「教育分野はブルーオーシャンだ」というのです(家電業界や自動車業界などの血と血で争うような凄まじい戦いを「レッドオーシャン」と見立ててのことでしょうか)。アメリカでは少し以前からそのようにいわれていて、教育とITとが結びついて「EdTech」と呼ばれているようです。
 
【あわせて読みたい】