ウルトラ右翼に手玉に取られた?首相夫妻、財務省、国交省、大阪府


両角敏明[テレビディレクター/プロデューサー]

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以下は必ずしも事実ではありません。毎日状況が大きく変化する森友問題について、3月4日までに報じられた内容に基づく筆者の「憶測」です。

<以下、すべて「憶測」>

「ナニワ豊中に時代錯誤(自民党二階幹事長の見方)でウルトラ右翼(TBS Nスタ・岸井成格氏の見方)の幼稚園長がいました。策士とも呼ばれる(鴻池事務所報告書)この園長は、幼稚園ではあきたらず小学校を作って神道思想による戦前回帰教育をしたいと考えておりました。

しかしまったくと言っていいほど自己資金が不足し、大阪府の小学校設置基準では申請すら不可能でした。そこで園長は自身の右より人脈を使って大阪府に近づき、借金でも小学校を設立できるように陳情して、偶然なのか橋下府政によりそれが実現します。

次に策士園長は大物政治家の取り込みに取りかかります。標的はウルトラ右翼の目から見て親和性の高い政治家であり、自らが属する右派団体・日本会議の主張に共鳴している自民党安倍晋三議員です。

まず経営する幼稚園の PTAのつて(園長インタビュー)から安倍晋三夫人の昭恵さんに近づきます。昭恵さんは友人の女性(安倍総理国会答弁)を通じて園長が経営する幼稚園を知ります。園長は、神とか神道とかに強い興味を持つ昭恵さん(月刊文藝春秋3月号・石井妙子氏論考)を園に招き、自身の強烈な愛国教育に賛同させることに成功します。

昭恵さんは園長の教育方針のすばらしさを夫・安倍晋三氏にも伝えます。園長はさらに深く安倍夫妻の懐に入り込み、安倍晋三議員にも講演を依頼し承諾を得ますが、安倍議員が自民党の総裁選に出馬することが決まったため講演はキャンセル(国会答弁)されます。この時には、わざわざ安倍氏自身が電話に出て直接園長にお詫びする(国会答弁)というほどの関係が成立しています。

園長は設立する小学校の校名を「安倍晋三記念小学校」にしたいと申し出、ある程度の好感触(TBSラジオ・インタビュー)を得ますが、安倍氏はあきらめが悪くしつこい申し出を、何度も何度も繰り返し断わった(国会答弁)と言い張っています。

それでも昭恵夫人は何度も園長の幼稚園を訪問した上、設立される「瑞穂の國記念小學院」の教育方針に強く賛同し名誉校長に就任します。安倍総理によれば、講演前の控え室で突然就任を依頼され、演壇に立つと名誉校長と紹介されたため断り切れなかった(国会答弁)と事情を釈明しています。

しかし鵜呑みにはできません。安倍総理の答弁術は見事で、いわば晋三流の達人、であることを忘れてはなりません。晋三流答弁術の得意技のひとつは「印象操作術」です。質問する野党に「印象操作はやめなさいよ」としきりに言っていますが、「印象操作術」が巧みなのは首相で野党など足もとにも及びません。

安倍首相自身は策士園長から距離を置こうとし、昭恵夫人は名誉園長を受けたくなかったけどあまりに強引だったので断り切れず嫌々受けざるを得なかった、かのようなニュアンスを滲ませる晋三流答弁をしていますが、事実はかなり疑問です。

昭恵夫人がこの幼稚園で講演しているのは2回。1回目の演題は「ファーストレディとして思うこと」でした。2回目の、直前に名誉校長を依頼されたという問題の講演ですが、演壇にはすでに「安倍晋三首相夫人・安倍昭恵氏」、演題は「瑞穂の國記念小學院を語る」とデカデカと書き出されており、司会者も名誉校長に就任された安倍晋三首相夫人・安倍昭恵さんと何のためらいもなく紹介しています。

断りたければ、あとで秘書にでも断らせれば何の問題もない話で、断り切れず嫌々受けたかの発言はおそらく晋三流印象操作術でしょう。

いずれにせよこうして策士園長にはとてつもない宝物が転がり込んできました。名誉校長が首相夫人となれば、巨大な広告塔であるとともに、策士園長に絶大な信用を付加することになります。

金のない園長には重要な寄付金集めにも大いに役立ちますが、それ以上にちっぽけな学校法人だったらまともに相手にしない官公庁でも、首相がらみの案件として対応せざるを得なくなる強力な武器を手に入れたのです。

この件では、昭恵夫人はもとより、夫人周辺スタッフは園長に利用される可能性を容易に考えられたはずですから、それを承知で引き受け続けたのでしょう。著名人でありながらこうした判断をする脇の甘さには呆れるしかありません。

 もとより策士園長に必要なのは、設立認可と校有地払い下げでした。小学校設立認可権限を持つ大阪府には日本会議大阪および大阪維新の会などの人脈を通じて交渉を続けました。問題は校有地の取得です。

園長は豊中市にある国有地に目をつけ、所管である財務省とのパイプを探します。目標は麻生副総理兼財務大臣です。麻生太郎氏は元総理大臣にして安倍内閣では一貫して副総理兼財務大臣を務めている大物中の大物。神道政治連盟国会議員懇談会名誉顧問でもあり、神道教育を目指す園長にとっては最高の人物です。

その麻生財務大臣の威光を笠に着るために目をつけたのが鴻池祥肇参議院議員でした。麻生派のベテランで大物、しかも麻生太郎財務大臣の盟友であることは永田町界隈では良く知られた話です。園長は鴻池事務所の秘書だった地元の県会議員を仲介役に鴻池参議院議員の地元事務所に近づき、頻繁に出入りして財務省近畿財務局とのつなぎ役を依頼するようになります。

鴻池事務所をとおして財務省の役人に話を持って行けば、財務官僚は麻生大臣との関係を忖度するはずで、扱いが疎かにはならないと読みます。事態は概ねそのように進んでいきます。

さらに加えて、名誉校長が総理夫人であることからこの案件と安倍総理との関係も官僚には少なからぬ心理的影響力を持ち、財務省ばかりか文科省、国交省など関係するお役人も策士園長を雑魚扱いするなどとてもできませんでした。

こうして園長の思惑どおり、大阪の小さな学校法人の小学校設立案件は、役人にとってはアベ案件でありアソウ案件でもあるというすこぶる特殊なマターとなります。園長の希望は、常識的には不可能なほどに無理難題であっても、次々と、しかもお役所仕事としては奇跡的なスピードで実現して行ったのです。あくまで合法かつ瑕疵のない手続きで。」

<以上、すべて「憶測」>

以上は必ずしも事実ではありません。報じられた内容に基づく筆者の「憶測」です。

【参考】<総理は辞めると啖呵?>「安倍晋三記念小学校」国有地払い下げ問題

ただ、おそらくこれと似たような想像をされた当事者がおられます。3月3日の毎日新聞から引用します。

「『今回の件はすべて森友学園の方が上手だったのだろう。財務省もうまく丸め込まれたのではないか』と述べ、政府側の対応に不手際があったと考えていることをうかがわせた。」(毎日新聞・3月3日)

これは、安倍首相が2日の予算委員会理事との会合で語ったことを伝えた記事です。

日本国の中枢が一介の小さな学校法人にしてやられたことを安倍首相が認めたのであれば、かなり情けない話です。とりわけ「財務省がうまく丸め込まれた」と首相自らが言うのであれば財務省には相当な問題があったのでは。

この問題に関する麻生財務大臣の国会での態度は目に余るほどに下品でぞんざいです。

野党議員の質問に、「なにを調子のいいこといってるんだか」とヤクザのごとく吐き捨て、ある時は質問に対して小馬鹿にしたような笑いを浮かべ、いつも、「法に照らして適切に処理され、手続きに瑕疵はないものと承知している」という趣旨の紋切り型答弁を繰り返すのみです。

合法で瑕疵がないことは官庁業務の必要条件であっても充分条件ではないのではありませんか。合法で瑕疵がなくても丸め込まれたのではかなりマズイのでは・・・麻生財務大臣?

一方で、公人であろうが私人であろうが、二階幹事長ですら時代錯誤と言う教育方針を絶賛し名誉校長を引き受けた安倍昭恵首相夫人が、園長にうまく取り込まれたのかも知れない経緯について公の場でひと言の釈明もしないのは独立人格の社会人が取るべき対応なのでしょうか。

今回の件は不思議なスキャンダルです。誰かが賄賂を受け取ったとか、具体的な違法性が問題になっているわけではありません。教育基本法に触れかねないほど極端に右傾化した教育をする幼稚園を運営する学校法人が、陳情などで政治家やその周辺を動かすことにより、億に上る血税を犠牲にしてまで絶大な『依怙贔屓』を官公庁からしてもらい、しかもそれが合法であるという政官のありようが人々の疑惑と怒りを爆発させているのです。

繰り返しになりますが、行政にとって手続きが合法で瑕疵がないことは必要条件であっても国民にとって十分条件ではありません。ですから、会計検査院がどういう結論を出そうと、それだけでは国民の83%(報道ステーション調査)の疑問と怒りはおさまりますまい。

 

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両角敏明

両角敏明(もろずみ・としあき)テレビディレクター、プロデューサー。 バラエティ、報道、情報、すべての番組を手がけてきた。