<鬼怒川決壊・最前線の救出活動>自衛隊の「いのちを守る活動」にこそ敬意

社会・メディア

榛葉健[ テレビプロデューサー/ドキュメンタリー映画監督]
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「50年に一度」の豪雨で茨城県常総市で鬼怒川が決壊し、更に豪雨の被害が栃木県、宮城県などにも広がり、7人の方が亡くなり、15人が行方不明になっている(9月13日現在)。
今回、自衛隊などによる空からの救出が、長時間テレビで中継され、誰もが固唾をのんで見守った。
そのヘリコプターにとって一番危ないのは、回転翼が架線に引っかかること。巻き込めば墜落につながる。若い頃私も撮影でヘリに乗る機会が多く、低空飛行の許可を得て撮影する時パイロットが綿密な飛行計画を立てていたことを思い出す。
今回、電線の合い間を縫うように長時間ホバリングをしながら、流されかけた家に孤立する住民を次々救出した自衛隊のヘリは、大変難しい動きだったはずだ。しかも今回は、現場を下見して飛行計画を立てることなど出来ない「ぶっつけ本番」だけに、いっそう難易度が増す。
筆者もかつて山岳地帯で許可を得て低空飛行をした際に、パイロットから強く言われた。

「あなたも乗員の一人です。絶対、高圧電線(架線)を見逃さないで下さい。墜落しますから」

孤立した住民一人一人を身を賭して救い出す「いのちを守る」活動に頭が下がる。
自衛隊に「自衛」の概念からはみ出すような行動を新たに求めようとする現政権の動きがある中、彼らの懸命な救出活動に敬意を表したい。
やはり、人をあやめるより、人を救う方がいいに決まっている。
 
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