<日米首脳会談> 対米従属「兵器大量購入」に切り込まない翼賛報道に疑問

社会・メディア

上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]
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<トランプ大統領が日米首脳会談であからさまな対日要求>
出来レースの観があった11月6日の日米首脳会談で、ほとんど唯一、耳目をひいたと言えるのは、初来日のトランプ大統領の口から共同記者会見の場で飛び出した「米国の兵器を大量に追加購入せよ」とのあからさまな対日要求であろう。

これに笑顔であっさりイエスと、応じる安倍晋三首相。日米同盟の本質である「対米従属」をこれほどわかりやすく浮かび上がらせたシーンは、過去の首脳会談でも筆者にはあまり記憶にない。
<1面トップで取り上げた在京紙は東京新聞だけ>
ところが、在京各紙の翌7日付朝刊の1面トップを見ると、6紙のうち5紙までが「日米、北朝鮮に『最大圧力』」(朝日)など、北朝鮮に最大限の圧力をかけることで両首脳が一致したという想定どおりの内容。
【参考】政治記者が明かす官房長官会見の「質問封じ」
武器の大量購入を1面トップで批判的に取り上げたのは「米の要求 丸のみに危うさ」の見出しを掲げた東京新聞だけだった。
<読売、産経、NHKなどは首脳会談に礼賛一色>
朝日や毎日などは社説やサイド記事で、武器の大量購入などにも批判的に言及しているが、案の定、読売と産経は「強固な同盟を対『北』で示した」(読売7日付社説)など、今回の日米首脳会談には、NHK同様に礼賛一色の翼賛報道。
それなりに両首脳への辛口コメントもあったテレビ朝日やTBSなど民放を含めマスコミ全体としても、安倍政権下で深化する「対米従属」の核心に鋭く切り込んでいるとは言い難い。
 
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