六本木ヒルズ「脳卒中フェスティバル2018」がクラウドファンディングで資金調達

社会・メディア

小林春彦[コラムニスト]
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一般社団法人・脳フェス実行委員会が7月31日、「脳卒中フェスティバル2018」の開催に向けてクラウドファンディングサイト「Readyfor」で出資者を募りはじめた。

脳卒中は、直接の死因となるケースも多い一方、生き延びた場合も後遺症を伴って生きることを余儀なくされる、厄介な国民病である。日本人の死因の第4位であると同時に介護の原因疾患の第1位を占めるようになり、少子高齢化が急速に進むわが国では、今後も患者数が増えると予想されている。こうした社会的な背景から、「脳卒中」という病気は「死の病」から「介護の病」とも呼ばれるようになった。

「脳卒中経験者と社会の溝を無くし、当事者の持つ可能性を知ってもらい、社会に希望を見出す機会となれば」

そう語るのは23歳で脳梗塞を発症した経験を持つ、理学療法士で脳フェス実行委員会の代表の小林純也氏。昨年、世界脳卒中デー(注)に行われた脳卒中フェスティバル2017に続く「脳卒中フェスティバル2018」は、規模を大幅に拡大し11月11日に六本木ヒルズでの開催を予定している。
【参考】<書籍「アルビノの話をしよう」>当事者が書くアルビノの現実
バリアフリーウォーキングの指導を受けた当事者によるショーを企画するファッション班を始め、嚥下(えんげ)食ビッフェを提供する料理班、「いつまでも笑顔を」とメイク体験のブースを用意する美容班、当日コラボするダンスやバンドの練習に励む音楽班、その他スポーツ班にエンタメ班など、同イベントではユニークな企画が目白押しだ。
「脳卒中フェスティバル」のロゴをデザインしたのは長野オリンピックのエンブレムデザイナーの篠塚正典氏。「『storokefes』の頭文字『S』をモチーフにたくさんの人が脳フェスに集まり輪になり楽しく、活発に交流し世界を広げていく姿を象徴。ダイナミックなデザインは右脳・左脳を表し、色は動脈・静脈を表している」と解説。
脳卒中経験者、家族、医療従事者、その他大勢の文化人を巻き込んだ脳卒中フェスティバル2018が今から楽しみだ。クラウドファンティングは、9月28日まで。
(注)2006年、世界脳卒中機構(World StrokeOrgaization:WSO)は脳卒中の主要危険因子が男性よりも女性に多いこと、脳卒中になった女性は男性に比べ十分な治療を受けられないこと、さらに介護者となった女性は精神的ストレスを男性より大きく感じる等の問題を提起し、10月29日を世界脳卒中デーと定めた。
 

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