25%基盤安倍内閣に38%民意が突き付けられた -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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2月24日に投開票された沖縄での県民投票の結果が明らかになった。辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票である。

投票率は52.48%。投票結果は、

「反対」43万4273票(72.2%)
「賛成」11万4933票(19.0%)
「どちらでもない」5万2682票(8.7%)

だった。「辺野古埋め立て」への反対票は、昨年9月の知事選で玉城デニー氏が獲得した過去最多の39万6632票を超えた。「反対」の43万4273票は、投票資格者数115万3591票の4分の1である28万8398票をはるかに上回った。「反対」票の投票資格者数に対する比率は37.64%に達した。圧倒的な民意が示されたと言える。

沖縄県が制定した条例では、最大得票が有権者の4分の1を超えた場合、知事が結果を尊重し、首相と米国大統領に通知することになっている。今回、最多の得票となった「反対」票は、全有権者の38%に達し、玉城デニー知事は結果を安倍首相と米国大統領に通知する。

圧倒的な民意で「辺野古埋め立て反対」の意思が示された。民主主義政治において、この意味は計り知れなく大きい。安倍内閣がこの民意を無視して辺野古埋め立てを強行するなら、日本の主権者は重大な決意をもって、その愚行に対処しなければならない。

安倍内閣御用メディアや安倍内閣追従者は、すかさず、「平成8年の県民投票では、アメリカ軍基地の整理縮小に有権者の過半数が賛成したが、今回の県民投票で『反対』に投票した人は38%程度となっている」や「投票率52% 広がり欠く」などと唱えるが、全有権者の38%が反対票を投じた意味は限りなく重い。自公の政権与党の2014年と2017年衆院総選挙での得票率は次のものだ(比例代表、全有権者に占める得票率)

<2014年選挙>自民17.4%、公明 7.2%(計24.6%)

<2017年選挙>自民17.9%、公明6.7%(計24.6%)

となっている。つまり、現在の自公政権は、主権者全体の4分の1を欠く者の投票によって成立した政権なのだ。主権者全体の25%の得票を得ていない。自民党に限っていえば、主権者全体の17~18%、6人に1人の投票しか得ていない。それなのに、自公の政権与党は国会議席の3分の2を占有している。

安倍首相はこの国会議席にあぐらをかいて、傍若無人の暴走政治を続けている。国政のこの現状を踏まえたとき、沖縄県民の38%の人々が辺野古埋め立て反対の意思を明示した意味は限りなく大きい。この38%民意を無視するなら、主権者の25%の支持さえ得ていない安倍内閣存立の根拠は完全になくなると言うべきだ。

今回の県民投票では、沖縄、宜野湾、うるま、宮古、石垣の5市が県民投票妨害の行動を示した。これに元山仁士郎さんなどがハンストで抗った。その結果として、全県で予定通り県民投票が実施された。主権者が行動を起こして県民投票を実現させ、さまざまな妨害工作を跳ね返して今回の結果を得た。

民主主義の重要な金字塔のひとつが打ち立てられたと言える。安倍内閣がこの民意を無視するなら、主権者はこの政権を消し去るしかない。暴政を続けるなら、必ずその報いが安倍内閣に跳ね返るはずだ。

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