<「嵐」がYoutubeチャンネル開設>5Gが変える?コンサート、ネット、テレビの今後

社会・メディア

奥村シンゴ(メディア評論家)

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ジャニーズの人気アイドルグループ「嵐」が10月9日公式Youtubeチャンネルを開設。現在、デビュー曲の「A・RA・SHI」をはじめ「Lovesosweet」「Happiness」「truth」「Monster」5曲がフルサイズで解禁されている。

サブスクリプション型(定額制)ストリーミング配信も解禁し、AppleMusic、Spotifyで音源配信がスタート。登録者数がわずか20日程で177万人、再生回数は「Monster」が721万回再生、「Lovesosweet」が581万回再生、「truth」が559万回再生と人気が沸騰。10月18日限定でYoutubeトップページをジャックしたり、10月21日より原宿ラフォーレ、日比谷線六本木駅、赤坂見附駅で、11月1日より汐留駅地下歩道に屋外広告がけ掲載予定だ。

ファンの間から《サブスク解禁とYouTube公式チャンネル開設とかヤバすぎ、ついにジャニーズにもネットの時代が舞い込んだ》、《たった34秒で6000人増えるとか…… 嵐やばい》、《嵐がご機嫌なHappiness MV見てると涙ふきでるなー。涙腺弱い》などと嵐のYoutubeチャンネル開設に歓喜の声があがっている。

「嵐」のネット進出には、5Gの技術革新を利用する狙いがあると思われる。コンサート会場で「嵐」メンバーのグッズがスマホからリアルタイムで購入できるECコンサートや推しカメラなどの登場。あるいは、東京ドームでコンサートをしながら突然東北にサテライト会場が出現したりと激変が予想されるコンサート視聴形態をテレビ、ネットの出演変化と共にメディア評論家の筆者が考察する。

*5G技術で推しカメラやTIGライブ導入の可能性

NTTドコモが今年1月にサービス提供を開始した「新体感ライブ」が話題を呼んでいる。「新体感ライブ」とは、スマートフォンで自宅や仕事先などからコンサートの生配信をさまざまなカメラアングルやARを活用したフィギュア演奏が視聴できるコンテンツ。サカナクション、乃木坂46、SILENT SIREN、TWICE、指原莉乃らが「新体感ライブ」でコンサートを生配信した。

指原莉乃のコンサートでは、最初から最後まで指原莉乃のみを撮る「指原追っかけカメラ」や指原以外のメンバーを撮る「推しカメラ」、会場内スイッチング映像、ステージ全体映像など全6アングルから配信。さらに、NTTドコモは「新体感ライブ」に電子商取引(EC)を導入し、11月1日に柏木由紀のコンサート配信で公演中に柏木がグッズなどを紹介すると、映像に映ったグッズを購入できる技術「TIGライブ」を開催予定。

「TIGライブ」とは、例えばスマホでコンサート生配信していても画面一つ押すだけで演奏中の音楽をダウンロードできたり、アーティストが紹介する衣装やグッズを購入できる次世代動画技術。しかも、「動画を視聴しながらアクセスする手間を省いてあり、動画の画面から欲しい音楽や商品をリアルタイムに購入可能」なのだ。

「嵐」のチケットは2020年の活動休止に向け、今後ますますプレミア化が予想されるので、是非新体感ライブを導入してほしい。あとは、「嵐」のコンサート演出を担当する松本やジャニーズ事務所の意向次第だろう。

*コンサートでサテライト会場誕生?

5G時代に向け、スポーツ中継やコンサートなどあらゆるイベントで実証実験が行われている。例えば、今年1月、人気女性アーティストグループ「Perfume」のカウントダウンコンサート「docomo×Perfumeその瞬間を共有せよ。」コンサートにNTTDOOMOが参加し、会場の横浜アリーナからのカウントダウンの様子を全世界に生配信。

さらに、東京の渋谷スクランブル交差点にライブのサテライト会場を設置し、大型デイスプレ-にPerfumeの生映像が流れ、横浜アリーナと東京渋谷スクランブル交差点の会場双方に1万2千人のLED(フリフラ)を配布。筆者も何度か使用経験があるが、一体感や色の鮮やかさに興奮と感動を覚える。

Perfume3人がもつLED(フリフラ)と横浜アリーナと東京渋谷スクランブル交差点のサテライト会場で観客がもつLED(フリフラ)の「光」をリンクさせるという試みがなされた。結果は大成功で5G技術を使用し横浜アリーナから東京渋谷スクランブル交差点に映像や音声を遅れることなくリアルタイムで伝送。Perfume3人が腕を振ったり体が動く度に横浜と東京両会場の観客のフリフラの色が変化した。

嵐のコンサートでも2014年の『ARASHI LIVE TOUR 2014 THE DIGITALIAN』からフリフラを取り入れ、嵐5人が腕につけた筋電デンサーで筋肉の動きを感知。あるいは、嵐の『Hope in the darkness』という曲の演出で音が鳴るのと同時に映像、電飾、レーザー、ファンがもつペンライトが一体になりファンの間で大反響を呼んだ。

2017年に開催された「ARASHI LIVE TOUR 2017-2018 「untitled」では、2000㎡超の巨大LEDモニターに嵐5人が歌い踊る姿や歌詞が流れ、5階席でもはっきり確認できる演出。さらに、嵐の20周年アニバーサリーソング「5×20」を嵐5人の懐かしの写真と共にデジタルアート、映像、テクノロジーを駆使したものを観客の前で披露し会場が大歓声に包まれた。

会場の観客はもちろん、チケットを取れなかった、学校や仕事で予定が合わなかったファンをどのように魅了させられるかがポイント。その中で、今までの嵐のコンサート演出の進化をみれば、今後Perfumeのように会場と国内や海外のサテライト会場の観客と嵐が一つになったパフォーマンスが期待できる。

*ネット配信の音楽・バラエティ番組進出か

コンサートの演出や視聴方法に変化が起きそうなのを書いてきたが、テレビ番組ではどう変化していくだろうか。今までは音楽番組でネット配信をしても、嵐が出演することはなかったが今後は出演する機会が増えるだろう。

毎年、櫻井の司会で夏に『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)と『ベストアーティスト』(日本テレビ系)という音楽番組が放送されている。『THE MUSIC DAY』、『ベストアーティスト』と連動し古坂大魔王MCの「裏配信☆大魔王の部屋」というコンテンツがネットで配信されている。「裏配信☆大魔王の部屋」は本番前後のアーティストとMCの古坂大魔王とトークを展開したり、楽曲を披露したりと舞台裏の様子が人気を呼んでいる。

今夏、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEが登場。三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーの一人であるNAOTOがぐグループの昔と今の違いを聞かれ、「昔はトゲトゲしてたけど、皆マイルドになった。年齢も重ねパフォーマンスに反映できている」と秘話を語った。

また、お笑い芸人のチョコレートプラネットの長田庄平が会うのを楽しみにしていた芸能人を聞かれ、「Hey! Say! JUMPの(八乙女光くんと有岡大貴くん。普段「ヒルナンデス!」で会う時はバラエティーって感じですが、舞台だと急にアーティスト感が出ます」と答えた。

ジャニーズアイドルであるHey! Say! JUMPの秘話が思わぬところで飛び出した。これまで同番組ではジャニーズメンバーの出演はないがネット配信が解禁された嵐が先陣をきって登場することが予想される。ジャニーズでは、Kis-My-Ft2が動画配信サービスdTVで「キスマイどきどきーん!」を毎週金曜に配信中のKis-My-Ft2と子供たちによるバラエティー番組。自称天才小学生や、女の子に長年熱い思いを寄せ続ける少年ら個性あふれる子供たちがみせる予測不可能な言動のKis-My-Ft2の対応に素顔が垣間見え、ファンの間で人気のコンテンツ。

今秋から課課せられたミッションをクリアしないと部屋から脱出できない新企画「キスマイ監き~ん」スタート。初回は千賀・横尾・二階堂がドミノを完成させるミッションに挑み、ドミノの完成に挑戦予定だ。Kis-My-Ft2のネット配信レギュラー番組がスタートしたように今までどちらかといえばネット配信に後ろ向きだったジャニーズ。嵐には『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)や『VS嵐』(フジテレビ系)など安定かつ人気が高い長寿バラエティ番組で培った経験や実績がある。もし、嵐がネット配信でバラエティ番組を立ち上げれば今までの経験や実績が活かせ、すぐさま人気コンテンツに成長するだろう。

5G実用化でコンサート会場に行けない人たちもスマホで「嵐」5人個々のカメラアングルを楽しめたり、演奏中の曲やメンバーが紹介したグッズを検索せず画面一つで購入できる時代。ネット配信への本格進出と共に2020年までの限られた時間を「嵐」のように楽しみたいとファンは願っているはずだ。

 

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