<危機的状況!おっさんばかりの男性プロゴルファー>日本人男性プロゴルファーTOP30に20歳代はわずか3人?!

社会・メディア

藤沢隆[テレビ・プロデューサー/ディレクター]
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10月12日、男子プロゴルフツアー「トーシン・トーナメント」最終日は韓国のI・H・ホ(27)が、なんと通算28アンダーというツアー記録で初優勝を飾りました。
3日目を終わった時点で、1位から4位までを韓国勢が独占。最終的には3位と4位に日本人選手が入ったものの、トップ10のうち6人が韓国勢でした。やはり日本の選手が優勝争いにからまないのではつまらないですね。この試合、いろんな意味で日本の男子プロゴルフツアーの危機を感じました。
まずはコースセッテイング。プロのトーナメントがこんなスコアが出るような甘いセッティングでいいんでしょうか。
たとえば、4日目「最終日」ですが、10番・535y・Par5の平均ストロークは4.4。易しすぎませんか? 極めつけは16番・316y・Par4です。プロのドライバー飛距離は平均270y~280yぐらいでしょうか。
でも、正確性を多少犠牲にして思い切り打てば300yを飛ばすプロはいくらもいます。距離が316yでPar4というのは、われわれ素人ゴルフでもあまりお目にかからないほどの短いホールです。
プロからみれば、ワンオンでバーデイではなくイーグルを狙う大サービスホールですね。さらに12番には364yという短いPar4もあります。こうしたバーディ取り放題みたいなコースのトーナメントっておもしろいですかね。シロウトには考えられないような難しいコースをプロの技と力で克服して行くのがテレビでプロゴルフ中継を視る醍醐味じゃないんですかね。
こんなセッティングでは、世界に通用するようなプロは絶対に育たないし、テレビの男子ツアーの視聴率はますます下がるなと思っていたら、もうひとつ男子プロゴルフの特徴に気がついてしまいました。
以下は10月13日時点での賞金ランキング・トップ10。※( )内は誕生年

男子ツアー獲得賞金Top10

  1. 藤田寛之(1969)
  2. 小田孔明(1978)
  3. 岩田 寛(1981)
  4. 金 亨成(1980)
  5. 張 棟圭(1988)
  6. 竹屋佳孝(1980)
  7. 石川 遼(1991)
  8. S・H・キム(1986)
  9. 宮里優作(1980)
  10. I・H・ホ(1987)

女子ツアー獲得賞金Top10

  1. アン ソンジュ(1987)
  2. イ ボミ(1988)
  3. 申  ジエ(1988)
  4. 成田美寿々(1992)
  5. 酒井美紀  (1991)
  6. テレサ・ルー(1987)
  7. イ ・ナリ(1988)
  8. 原江理奈(1987)
  9. リ・エスド(1986)
  10. 渡辺彩香(1993)

日本人男子プロ・トップ10は7位の石川遼を除いて全員が1984年以前の生まれ。すなわち30才を越えています。トップ30位まで見ても15位の藤本佳則が1989年生まれ、25位の池田勇太が1985年生まれで、結局20代の選手はトップ30中にたった3人だけ。
30位以下をさがしてもせいぜい1989年生まれの薗田峻輔と小平智がいるぐらいです。
逆に女子プロのトップ10は全員が20代で30才以上は一人もおりません。とくに日本人選手は多くが20代も前半です。トップ30位まで見ても、30才以上の選手は12位の大山志保(1977)と27位の表純子(1984)のわずか二人のみ。
これらの後を追う選手も女子は若手が百花繚乱で、1992年生まれの福田真未、香妻琴乃、堀奈津佳、工藤遙加、1993年生まれの比嘉真美子や1994年生まれの鈴木愛、葭葉ルミ、藤田光里などが続き、さらに勝みなみを筆頭に森田遥、永井花奈、柏原明日架、堀琴音、佐々木笙子、松原由美、岡山絵里など10代アマチュアもどんどん出てきています。
極端に言えば、男子はおっさんたちの、女子はギャルたちのトーナメントになっています。
アマチュアで言うと、こんなデータもあります。JGA(日本ゴルフ協会)のアマチュアランキング・トップ10(2014/7)の平均年齢ですが男子は18.6才、女子は16.6才と2才も開きがあります。さらに、今年開かれた世界アマチュアチーム選手権では男子が過去最低だった1964年大会の23位を下回わる29位タイで終っています。女子は8位でした。
ついでに失礼を承知で言わせていただけば、男子プロのビジュアルも・・・。韓国勢は若くスマートでイケメンぽいのですが、日本勢は総じて・・・・・・。
一方で香妻琴乃、堀奈津佳などビジュアルもお嬢さんタイプの選手が続々と排出する女子ツアーとでは勢いに差が出るのも当然かも知れません。
今年は男子ツアーの試合数がまたひとつ減って24試合に、一時期は年間40試合もあったのに。逆に女子プロゴルフツアーはひとつ増えて37試合となりその差は13試合。これも人気の違いの表れでしょう。
JGTO(日本ゴルフツアー機構)のデータによれば、各トーナメントのギャラリー数も前年比で男子プロは減少傾向、女子プロは増加傾向と対照的です。とにかく、どう見ても日本の男子プロツアーは大ピンチです。そして実はゴルフ業界全体がピンチなのです。ゴルフのプレイ人口が減っています。
とくに30代、40代の減少は業界全体の将来にとって大きな問題です。日本のあちこちでゴルフ場が廃業し、芝生の上に太陽光発電のパネルが置かれている光景が増え続けているのです。
女子プロやアマチュアが話題豊富でマスコミも関心を持っているうちに、松山英樹や石川遼が注目されているうちに、なんとしてもはつらつとした若手を数多く育て、韓国勢に追いつき追い越すようでないとツアーが成立しなくなり、ひいてはいまや高齢者中心のゴルフ場から自然の摂理で老人すらも消えれば、業界そのものが成り立たなくなるのではありませんか。
さて、日本のゴルフのトップカテゴリーである男子プロツアーにそれだけの危機感と反発力があるのかどうか・・・。ガンバレ、男の子ゴルファー!
 
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