<社会福祉法人は儲けすぎではない>介護報酬引き下げの根拠が社会福祉法人の「内部留保」?

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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先頃、国の平成27年度予算が発表された。
その中で、国が介護報酬引き下げの根拠として挙げたものが社会福祉法人の巨額とされる「内部留保」であった。しかし、その比較材料となった指標に関係者からは早い段階から疑問府が投じられている。
単にそれが民間企業比較に依るばかりか、同法人に対しては既に補助金をしぶり課税をも目論むから全く歴史も理念も知らない不勉強ぶりを露呈した。
もとより、我が国は「介護報酬の積算根拠」すら明らかにしない、変な国である。そもそも、原価償却額も退職金引当すら計上できない社会福祉法人のささやかな決算書だ。「もうけすぎはないだろう」という理解が一般的な経理マンの見識だろう。介護保険の漸増を公益性公共性に狙いを定めたバッシングだから、検討違いも甚だしい。
多くの利用者と家族への「とばっちり」も懸念される。
介護報酬の引き下げは介護サービスの低下をもたらすことになることは明白である。それによって、誰が利するのか? 定番の「市場化、民営化、規制緩和、介護特需」という語句が頭をよぎった。
「ネギ」も「うちわ」も「SМ」も「買春」の禊(みそぎ)も、まだ、けっして終わっていない。むしろ、今こそ政府と国会議員に、それこそ海外からの会計監査の目ぐらいが必要であるように思う。
 
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