<どうなる?介護士の身分と給与保障>誰がどこで決めている?怪しすぎる「補正予算」

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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年末の国会閉会後の「補正予算」の実行は、だれがどこで決めたのか?

毎年、忘年会の頃になると、通常ならば霞が関では「予算ブン捕り合戦」が繰り広げられるのが常だ。しかし、昨年末は一向にそれに関した報道がなかった。法人税減税、海保庁巡視船新造、3・5兆円「地方創生」のバラマキといったことが当たり前のように報じられ、いずれも年度内の「補正予算で」というのも異常だった。
官邸筋は「1月26日召集予定の通常国会で、2014年度補正予算案と15年度予算案の早期成立を目指す」という。安倍首相は正月には茅ケ崎で経済界トップとゴルフに興じている。
「消費税が入ってこないから出来ない」からか、社会保障の減額が予定されている。財政制度等審議会では「27年度予算編成における具体的取組み」(社会保障給付費節減では)「自然増」に対して、

  1. 過剰な急性期病床の削減や平均在院日数の短縮などの医療介護提供体制の改革、収支差等を踏まえた報酬の抑制や薬価引き下げ等の単価の伸びの抑制、後発医薬品の使用促進などの保険給付の範囲の見直し・重点化などの徹底した合理化・効率化
  2. 年齢や制度で区分せず、経済力に応じた公平な負担の確保(高齢者の負担の見直し等)
  3. 1、2の取組みを行った上で、在宅医療の推進や地域包括ケアシステムの構築等、真に必要な新しい政策課題への対応については財源を確保して実施」を挙げた(平成26年12月25日)。

さらなる「在宅へ」「在宅へ」の経済誘導である。家族負担の軽減やケアに従事する介護士への身分と給与保障はどうか。27年度は介護報酬改定期だが、国は既に介護報酬引き下げを公言する。社会福祉法人や介護事業者の「内部留保があるから」というデマを飛ばしつつの「基本報酬の適正化」だが、その「適正化」が怪しい。
手口は福祉切り捨ての、あの生活保護受給者へのバッシングに似ている。
 
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