<絶滅危惧種?のラジオドラマに光を当てる>ラジオ日本で「ラジオドラマの脚本」を募集

社会・メディア

高橋秀樹[放送作家]
2014年7月25日

 
テレビがない時代、つまり筆者が小学生だった1960年代、ラジオに夢中だった。
「連続ラジオドラマ・赤胴鈴之助」を聞くために、走って家に帰り,まず箱型ラジオのスイッチを入れその前に正座した。真空管のブーンという音とともにテーマソングが始まる。あったまるのが遅いのでテーマソングの冒頭はちょん切れてしまう。
長じて、テレビ番組の台本を書く放送作家となった。テレビを主にやっていたので、ラジオ番組もやってみたいと思っていた。方々に頼み込んで、やっとラジオ関東(当時)の『電撃ワイドウルトラ放送局』をやらせてもらえることになった。1970年代後半のことである。
当時から、もう、ラジオ台本というようなものはなくて、パーソナリティのフリートークの時代だった。台本が必要なのは決まりきった告知の部分くらいである。
ラジオの番組をはじめてやってカルチャーショックを受けた。テレビとは違うのだ。呼びかけるときは決して皆さんとは言わない。聞いているのは「君やあなた」一人なのである。パーソナリティには、何も台本や、トークのテーマを考えず、15分真っ白な時間が与えられた。15分間自分で考えてしゃべれということだ。何が何でも15分。森進一もしゃべることを考えてきた。レコードに逃げる回数が次第に減っていった。
この方法はすばらしい。テレビでショウ番組をやるとき僕はこの方法を導入しようと思った。番組冒頭の5分は、何もネタを用意しない。出演者のフリートークにする。何度か実験したが、出来たのは岡江久美子と薬丸裕英だけだった。だからあの番組はすごかった。
『電撃ワイドウルトラ放送局』では、すごいパーソナリティたちと直接話が出来た。ギターの神様ことChar、こんなに頭の回る人を僕は知らない。妖艶な松原みき。「万里の河」がヒットしたばかりのチャゲ&飛鳥。この経験は筆者にとってはかけがえのない財産である。
今、ラジオで、きちんとした台本を“演じる”ことで成り立っている番組はいくつくらいあるのだろう。
“演じる”ことが絶対に必要なのは絶滅危惧種のラジオドラマである。そのラジオドラマの脚本をラジオ日本(昔のラジオ関東である)の番組「カフェ・ラ・テ」(木曜深夜3時)が募集している。(http://www.jorf.co.jp/PROGRAM/cafe.php)
テーマは「再起動」長さは5から8分。夏休みの思い出に応募してはいかがか。
「カフェ・ラ・テ」は、放送作家協会が運営する番組で、同協会の広報担当の常務理事である筆者も応援している。
僕は審査員ではないが、どういう脚本なら採用されるのか、僕なりの考えを書いておこう。
まず、短いのでアイディアはひとつ。いろいろ入れようと欲張らないこと。アイディアは3つ以上は考えてみて2つを捨ててひとつに絞ること。説明のセリフをなるべく少なくすること。音楽や効果音を考えること。誰か、聞いてもらいたい人を思い浮かべながら書くこと。
こんな指南では、役に立たなかいかもしれませんね。とにかく応募を待ってます。
 
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