<Googleマップ派にこそオススメ> 運転中のストレス激減の最強カーナビアプリの実力
土居聖香(本誌ライター)
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海に山にテーマパーク——夏休みの予定が決まるだけで、気分もぐんと上がる。長い連休に家族や友人とちょっと遠出、なんて考えるだけでもワクワクしてしまう。しかし、そんなウキウキ気分に水を差すのが……そう、“移動のストレス”。
せっかくの楽しいお出かけも、目的地に着くまでに「道を間違えた」「渋滞にはまった」「駐車場がどこにもない!」なんてトラブルに見舞われると、気分もテンションも一気に下がってしまう。そんな経験、きっと一度はあるのではないだろうか。
実際に、セゾン自動車火災保険株式会社が行った調査(2021年、全国のドライバー974人対象)によると、運転中にイライラを感じたことがある人は、なんと9割超えという結果が出ている。
さらに、「運転中に困ったことがある」と回答した人も同じく9割を超えており、特に多かった困りごとは、「急にトイレに行きたくなった」「駐車場が見つからなかった」というもの。いずれも、誰にでも起こりうる“あるあるトラブル”であろう。
このように、運転にはイライラやトラブルがつきもの。とくに、普段あまり車に乗らない人にとっては、「お盆休みだけ運転する」「旅行の時だけハンドルを握る」という状況も多く、知らない土地を走るというだけでプレッシャーになる。その不安が緊張や焦りにつながり、結果的に“イライラドライブ”を引き起こしてしまうことも少なくない。
たとえば、狭い道で対向車とのすれ違いにヒヤヒヤしたり、曲がるはずだった交差点をうっかり通り過ぎてしまったり、高速道路を使う予定がなかったのに案内されてしまったりと、運転中の「こんなはずじゃなかった」は枚挙にいとまがない。
そんな時に頼りになるのがカーナビであるが、これも悩みものだ。もちろん、最近のカーナビやマップアプリは道路交通法や道路状況に応じて最短・最速の道を案内してくれる。しかし、ドライバーにとって最適とは限らない。最短・最速なのだろうが、信じられないような悪路や、恐るべき狭い経路を案内されるケースにストレスを感じるドライバーは筆者だけではあるまい。しかし実は、それらのトラブルの多くは、あるアプリを使っていれば、未然に防げたかもしれない。
特に、マップアプリの世界では単独一位と言っても過言ではないGoogleマップは徒歩や電車での移動、お店の検索には最適だ。しかし、ドライバーにとってはどうか、と言われれば、先述したように、決して最適とはいえないのが現実だろう。ようは、「運転する人のことを考えて作られているか?」というと、決してそうではない、というわけだ。
ここで着目すべきは、Googleマップが、カーナビとしての役割を少なからず代替してしまっている、という点なのかもしれない。言うまでもなく、そもそもGoogleマップは、マップアプリであり、カーナビとして生まれているわけではないのだから、「ドライバーのことを考えて」作られているわけではないだろう。いわば「万能地図」だ。
Googleマップがカーナビとして最適かと言われれば、残念ながら筆者としてはノーだ。
<なぜマップアプリでは限界があるのか?――カーナビアプリとの決定的な違い>
そもそもGoogleマップとカーナビアプリは何が違うのか? まずは、マップアプリとカーナビアプリ、両者の違いを整理しよう。この2つは一見似ているようでいて、設計思想や使い勝手に大きな違いがある。
*マップアプリの特徴*
① 地図機能に特化、口コミやお店検索などに向いている(運転手のための考慮はない)
② 徒歩、自転車、公共交通機関、そして車など、あらゆる移動手段に対応している
多くの人がスマホに入れているマップアプリは、いわば「広く、浅く」の万能アプリという体裁だ。もちろん便利だが、車での移動を考えると、実は見落とされがちな弱点もある。たとえば、車の運転に特化していないため、ドライバーの好みに合わせた案内が難しく、地図の表示も情報が多すぎて複雑になりがちなのである。
また、アプリ自体がグローバル基準なので、海外の整然とした道路事情に最適化されている場合もあり、国道〇〇号線や〇〇通りなどの道路名で表示されるのである。これは、日本人は交差点で覚えている人が多くパニックになった人も多いのではないだろうか。そのため、瞬時の判断が求められる運転中の場面では見づらさを感じることも少なくない。さらに、駐車場の検索に手間がかかるうえに、満車かどうかの情報がわからないなど、車での利用にはやや不便さが残る。
*カーナビアプリの特徴*
一方で、カーナビアプリは車の運転に特化して設計されている。
① ドライバーが安全かつ快適に目的地にたどり着くまでの専門ツール
② 車の移動に特化
ドライバーが安全かつ快適に目的地までたどり着くための専門ツールとも言えるだろう。ルート案内も、好みに応じた最適な経路を提示し、地図表示もコントラストが高く視認性に優れているため、運転中でも一目で情報が把握しやすくなっている。
また、道幅や車幅を考慮したルート設定が可能で、狭い道を避けたいときなどにも安心なのが特徴だ。さらに、駐車場の空き状況もワンタップで確認できる機能など、車で移動する際に必要な情報が的確に盛り込まれていることもマップアプリとの大きな差異である。
両者を比べてみると、マップアプリとカーナビアプリの違いは、「運転に対する配慮」に明確に現れている。結論として、車での移動がメインであれば、車のために設計されたカーナビアプリを使うほうが、圧倒的に快適でストレスの少ないドライブを実現できると言える。
<カーナビアプリはどうやって選ぶの?>
このように、カーナビアプリは、ドライバーにとっては魅力的なアプリであり、ぜひ入手したいものである。ただ、高機能ではあるが、そもそもどれを選べばいいのか分かりづらい。そこで本稿では、Googleマップからカーナビアプリへの乗り換えを検討している筆者目線で選び方を解説したい。
まず最初に思いつくのは、現在のカーナビアプリの代表格として知られる「カーナビタイム」だろう。2012年リリースの老舗で、カーナビアプリ大手として、唯一その存在が認知されているアプリといっても過言ではない。
しかし、いざインストールしようと思った時に、早速の障壁の登場だ。利用料金が月額700円。これはなかなかの強気金額である。買い切りゲームアプリでもこの価格は高額に部類するが、月額サブスクとなると、実質年間8000円を超えるコストになる。無料のGoogleマップと比べると、圧倒的なコスト高感だろう。「試しにインストール」といった軽い気分で登録できるものではない。
そこで次に、最新のカーナビを探してみたところ発見したのが、「COCCHi(コッチ)」(パイオニア)である。こちらはリリースが2023年なので、カーナビアプリとしてはかなり新しい。パイオニア社といえばオーディオメーカーとしての印象が強い人も多いだろう。しかし、実は車載カーナビを35年以上にわたり生産しており、現在はカーナビメーカーとして国際的にも高い知名度を誇っている。
<COCCHi(コッチ)をいざ使用>
COCCHiは、パイオニアが1986年から展開している安定の車載カーナビブランド「カロッツェリア」のアプリ版と言えばドライバーの方ならわかるかもしれない。Googleマップの類といかに違うのかがわかってもらえるはずだ。
カロッツェリアと言えば、オーディオブランド・パイオニアのセンスが活きた美しさとその完成度の高さが有名だが、そのアプリ版COCCHiも同様のクオリティに驚かされる。スマホの中にあのカロッツェリアを入れることができる、そんな感覚だ。
さて次に実際の使用感だ。とくに印象的だったのは、単なるルート案内にとどまらず、「運転中に感じていたちょっとした不満」を丁寧に解消してくれる点である。結果として、移動全体のストレスが格段に軽減され、ドライブの質が大きく変わった印象だ。
細部についてチェックしてみよう。
1. 音声案内の表現とタイミングが絶妙
マップアプリで「500m先を右折」と言われても、複雑な市街地や初めての道では「どれ!?」と混乱することもしばしば。混乱して曲がり損ねる・・・という経験に苦慮した人は多いはずだ。
COCCHiでは、音声案内がより具体的かつ視覚と連動した情報を提供してくれる。例えば、「次の信号を右折。その後すぐ右レーンに入ってください」、「陸橋をくぐったあと、左折になります」といった具合だ。このタイミングと表現であれば、走行中に画面を見る回数もぐっと減り、音声だけで目的地に到着することも可能だ。
2. 学習するルート案内が最強
COCCHiのルート案内では、広い道優先、高速使用、最短距離など、最大6つの候補が提示される。一般的にはこれだけでも十分便利だが、これに加えて「ルート学習機能」が最強に便利だ。ナビの案内通りに運転していて、「いつも通らない道ばかり案内される・・・」と違和感を覚えることは、ドライバーであれば誰もが経験することだろう。その不安を払拭するために、COCCHiでは普段自分がよく通る裏道や、お気に入りの道を覚えてくれる「ルート学習機能」があるのだ。
「ナビに従わされる」のではなく、「ナビが自分に合わせてくれる」体験は、新鮮でとても快適なものである。土地勘のあるエリアで無駄に遠回りさせられる、という不満もなくなり、走り慣れた安心感のあるドライブが実現できる。これはドライバー目線な機能といえるだろう。
3. 立体表示でジャンクションや分岐の混乱回避
複雑な高速道路の合流や分岐。特に夜間は見落としやすく、ヒヤっとした経験は数知れず。COCCHiでは、インターチェンジや分岐点を立体的に表示することで、どのレーンに入れば良いかが一目瞭然になるデザインになっている。ドライバー目線になると、あるとないのとでは安心が全く異なる。これだけでも試してもらいたい機能だ。
4. 空き駐車場のリアルタイム検索
移動中に駐車場を検索することは誰でもすることだ。ただ、いざ訪れてみたら満車だった・・・みたいな事態がストレスになることは多い。COCCHiでは、ワンタップで空き駐車場をリアルタイムで検索できる機能がある。「ありそうでなかった」機能の代表格と言っても過言ではない。いつもは「駅近はどこも混んでるから」という理由で、少し離れた駐車場に停めている筆者だが、この機能を利用したところ実は、駅に一番近い駐車場に空きがあったことが判明し、楽々移動ができたという経験をした。この機能はとんでもなく便利であった。
5. 車幅考慮機能で安全運転
個人的に最もありがたかったのが車幅考慮機能である。以前、ナビに従って走った先が狭い生活道路で、車体を塀にこすってしまった苦い経験があり、それ以来「この道、本当に大丈夫か?」という不安を抱えながら運転していた。COCCHiでは、自分の車両情報を登録しておくことで、車幅に応じたルートを自動で選んでくれる。
この機能は、Googleマップのような広く浅くの地図アプリとの最大の違いと言っても良い。最短・最速でルート検索するGoogleマップは車幅を全く考慮してくれず、恐るべき道を通らされることは多い。実際に使ってみると、広めの道を優先して案内してくれ、住宅街でもすれ違いやバックでの切り返しといった場面が激減した。道幅を気にしながら運転するストレスや不安から解放してくれる設計は、ドライバー目線ならではだ。そしてやはりパイオニアの長い歴史と実績が、随所に埋め込まれており、ユーザーフレンドな点も、魅力だろう。
これらのように優れている点が多くある一方で、ローカルのお店を検索しても出てこないなど、検索機能がマップアプリと比べ弱いと感じたこともあった。しかし、そんな時にはGoogleマップでお店を検索してCOCCHiに転送すれば目的地にセットすることができる。この機能を使えば、Googleマップとカーナビアプリの「良いトコどり」ができるといえるだろう。
<月額350円でストレスフリーなドライブ>
ドライブでのちょっとしたイライラは、感情の問題だけでなく結果的に時間や燃料の無駄、さらには余計な駐車料金などの“出費”にもつながっている。
これを踏まえた上でのコストだが、COCCHiは月額350円。老舗「カーナビタイム」の半額である。もちろん、カーナビタイムの老舗ならではの魅力もあるので、金額だけで単純比較はできないが、非常に高いコストパフォーマンスと言えるだろう。
筆者の個人的な感覚でいえば、月にたった1回でも「駐車場探しで無駄な時間を使わなかった」という体験ができれば、その価値は350円以上になると思う。ようは、どれか一つでもドライバーとして使う機能があれば、十分に元がとれるのではないか。その意味では、COCCHiはカーナビアプリというよりも、ドライバーのストレス軽減アプリなのかもしれない。
COCCHiは2週間の無料お試し期間が用意されているので、使い勝手や自身のライフスタイルとの相性が気になるという人は、まずは気軽に試してみることをお勧めする。サブスクやアプリ利用に慎重な方にとっても、リスクなく始められるのは大きなポイントであろう。
今年の夏休みは、無駄なストレスに振り回されない、快適で安心なドライブを実現したいと思っているあなた。Googleマップからの乗り換えを検討してみてはどうだろうか。きっと、いつもの道が、ちょっと違って見えてくるはずである。
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