<VUCA社会の新定番>仮想通貨は資産ポートフォリオの鍵だった
土居聖香(本誌ライター)
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現代はまさに「VUCAの時代」と呼ばれるようになった。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉である。変動性や不確実性が高まる時代において、これまでの資産運用の常識は通用しなくなりつつある。
たとえば、近年、世界的なコロナ禍を筆頭に、米中対立の激化、ウクライナ紛争などの地政学的リスク、そして金融緩和とインフレ対応のねじれといった複合要因により、これまで安定とされていた資産カテゴリー(金、債券、不動産など)ですら大きな揺らぎを見せている。このような環境下においては、従来型の資産運用だけでは、市場の動揺から資産を守ることが難しくなっている。
そのため、資産形成に関心を持つ多くの投資家にとって、「資産の分散」はますます重要な戦略となっている。金、債券、不動産といった市場ですら不確実性が高まる近年、次の分散投資先として「仮想通貨(暗号資産)」に世界的な注目が集まっている。
野村ホールディングスの調査によれば、日本の機関投資家の54%が今後3年間で仮想通貨への投資意向を示し、その主な理由として「分散投資機会の捕捉」「他資産との低相関性」「インフレヘッジ」を挙げている。(「デジタルアセットの投資動向に関する機関投資家調査 2024」2024年6月24日)
これらの事実は、ポートフォリオを強化する上で「仮想通貨を資産に加えること」が、不可欠な要素となりつつあることを示唆している。これを踏まえると、今後、仮想通貨の導入が加速していくことが予想される。
<資産形成を考える投資家にとって、なぜ仮想通貨が有効なのか>
では、なぜ今、分散投資を考えるとき、仮想通貨が有効な選択肢といえるのだろうか。
その最大の理由は、「従来の資産との値動きの非連動性」にある。株式や債券、不動産など、従来の投資資産は、ある程度相互に影響を受けやすい傾向があるが、仮想通貨はその市場構造や背景が異なるため、値動きの連動性が相対的に低い。たとえば、金融危機や利上げ局面など株式市場が下落する状況でも、仮想通貨は別の理由で価格が変動し、場合によっては価格が上昇することもある。
例えば、2020年から2021年にかけての実例は象徴的である。世界中でコロナ禍による経済活動の停滞が起きた結果、米国株式(S&P500)は20%近く下落した。しかし同時期にビットコインの価格は約2倍になるという対照的な動きを見せた。この動きからわかるように、仮想通貨は既存の資産とは異なる動きをすることがあり、ポートフォリオ全体の安定性を高め、資産を守る分散効果が期待できる。
仮想通貨は、このような既存資産との値動きの非連動性に加え、さまざまな利点がある。例えば、インフレへの備えに有効であること、成長が期待できる資産であること、24時間取引可能という利便性、そして換金しやすい流動性の高さなどだ。仮想通貨は、その多くのメリットが評価され、資産形成の選択肢として新たな地位を築き始めている。
こうした分散効果を期待して、仮想通貨を選択する動きは、欧米を中心とした投資家の間ではすでに浸透している。特に2024年以降、米国証券取引委員会(SEC)が複数のビットコイン現物ETFを承認したことにより、仮想通貨が制度的に認められ、一般の投資家にも広がりを見せた。ブラックロックやフィデリティ、インベスコといった世界的大手金融機関がこぞってETFを提供していることからもわかるように、仮想通貨がポートフォリオに本格的に組み込まれる時代を迎えている。
現に、世界の富裕層や機関投資家は、仮想通貨を「高リスクな博打」ではなく、「長期的な分散運用を担う投資先」として再定義している。こうした流れは今後ますます定着していくと予想され、日本の投資家にとっても無視できない存在になっている。特に、従来の投資対象を一通り経験してきた層にとって、新たな成長の波へ早期に乗ることは、次の10年を見据えた資産形成戦略の鍵となるだろう。
<仮想通貨投資を成功に導く『保有』のポイント>
「仮想通貨は短期投資で一攫千金!」という考え方は、お勧めできる投資方法とはいえない。仮想通貨で分散効果を得るためには、短期的な売買では真価を発揮しにくいものだ。市場全体が短期間で急変する中、個別資産の相関性を測りながら売買を繰り返すのは至難の業だろう。しかし、長期で保有することで、異なる値動きをする資産がお互いのリスクを打ち消し合う効果が持続的に働き、ポートフォリオ全体の「地力」を高めることができる。真の分散効果は、まさに時間をかけてこそ実現されるのだ。
分散効果を最大限に発揮すべく、仮想通貨を長期で保有するうえで重要なのは、ただ買って持つだけでなく、「どのように保有するか」という運用戦略である。効果的な運用方法として、仮想通貨には、「ステーキング」と「レンディング」が存在する。
「ステーキング」とは、対象の仮想通貨を仮想通貨取引所に預けておくことで、ブロックチェーンの安定稼働に貢献する仕組みであり、その対価として報酬(仮想通貨)を受け取ることができる。また、「レンディング」とは、仮想通貨を取引所などのプラットフォームを通じて第三者に一定期間貸し出すことで、銘柄や数量、貸出期間に応じた貸借料を受け取ることができる仕組みである。
これらは長期的に仮想通貨を持つ投資家にとって、日々の相場変動に気を取られることなく、預け入れたり貸し出したりするだけで自動的に仮想通貨が増えていくため、手間なく効率的に資産を成長させられる魅力的な運用方法として広がっている。
この「ステーキング」や「レンディング」は、魅力的な仕組みではあるが、取引所によってその条件が大きく異なる点には注意が必要だ。より効果的な運用を目指すなら、各取引所が提供するサービス内容を細かく把握することが必要不可欠である。これらの条件を比較検討したうえで、自身の運用方針に最適な取引所を選び、取引を開始することが賢明な判断といえる。
この観点で、国内の主要取引所であるGMOコイン、bitbank、Coincheck、bitFlyer、SBI VCトレードを比較してみよう。
ステーキングにおいては、ステーキング対象銘柄数と資産が引き出せない期間であるロックアップ期間の有無で比較することとする。ロックアップ期間がないことは、市場が急変した場合にも柔軟に対応できる大きな利点である。
<ステーキング銘柄数比較>
• SBI VCトレード:14銘柄(国内最多水準)
• GMOコイン:7銘柄
• Coincheck:1銘柄
• bitFlyer:1銘柄
• bitbank:ステーキングサービスなし
<ロックアップ期間>
• SBI VCトレード:なし
• GMOコイン:なし
• Coincheck:あり
• bitFlyer:あり
• bitbank:ステーキングサービスなし
上述の通り、国内最多の14銘柄に対応しており、かつロックアップ期間(資産が引き出せない期間)がないSBI VCトレードが圧倒的優位であることがわかる。なぜなら、引き出しに制約があるステーキングの場合、急な価格変動時であっても自由に引き出すことができないためだ。
つまり、ロックアップ期間が設けられている場合、ステーキングにより仮想通貨は増えるものの、その仮想通貨の価格が下落すれば結果的に損失を被るリスクにつながる。こうした事態を避けるためにもロックアップ期間の有無は非常に重要なのだ。
また、ロックアップ期間がない、つまりいつでも資産を引き出せる状態であるステーキングにおいては通常、預けるための申し込みが不要であり、SBI VCトレードもむろん例外ではない。対象銘柄を保有したその日からステーキング報酬の受け取り対象となり、「ただ対象となる仮想通貨を口座に保有しているだけ」で毎月利回りが受け取れるのだ。
まさに「ほったらかし運用」が可能である。これは、日常的に多忙な方にとって魅力的であり、手軽に運用を継続できるという大きなメリットだ。
次に、貸借料を受け取れる仕組みである「レンディング」について年利を比較しよう。
<取引所別レンディング年利>
• SBI VCトレード:最大20%
• GMOコイン:最大10%
• Coincheck:最大5%
• bitbank:最大5%
• bitFlyer:最大3.05%
この差は歴然であり、年利が高いことは、仮想通貨の長期保有において大きなアドバンテージとなるのはいうまでもない。
また、SBI VCトレードには、1,000万円以上の預け入れをする大口顧客に「SBI VC for Prime」という特別なサービスも用意されており、過去には、最大30%という破格のレンディング年利が提供された事実は驚きだ。
分散投資の選択肢として仮想通貨を保有する、つまり仮想通貨を長期保有する観点から見た時に、ステーキング、レンディングが好条件であるSBI VCトレードは魅力的な選択肢だ。
<SBIグループが提供する揺るぎない信頼性と安心感>
仮想通貨を長期的に保有する場合、重要となるのがセキュリティリスクである。市場が成熟する一方で、ハッキングや不正アクセスといった被害事例が後を絶たない。安心して資産を預けられるかどうかも、取引所を選ぶうえでの重要な判断基準となる。
今、一般の取引所では、顧客の資産はすべてオフライン環境である「コールドウォレット」で管理されている。仮に外部から不正アクセスがあったとしても即時に資産に触れることはできない仕組みになっているのだ。
さらに、一つの資産に複数の秘密鍵による承認を必要とする「マルチシグネチャ」や不正ログインの防御システムも導入されており、取引のあらゆる段階でセキュリティが多層的に施されている。
しかし、これらの技術的な仕組みだけでは、「もしもの場合」に本当に顧客の資産が守られるかという懸念を完全に取り除くことは困難だろう。
その点、SBI VCトレードは、SBIグループの証券・銀行・保険といった各種金融機関と同様の厳格なセキュリティ体制とリスク管理を構築している。IT企業系の取引所とは異なる「金融」のプラットフォームだからこその安心感だ。
むろん、安心感があるのは金融のプラットフォームだからというだけではない。セキュリティにおいても国内トップクラスの対策を導入しているSBI VCトレードでは「信託保全」という枠組みを採用しており、ユーザーが預けた資産はグループの資産保全の専門会社であるSBIクリアリング信託株式会社により分別管理されている。これにより、万が一トラブルがあっても、預かり資産が守られる体制が確立されているというわけだ。
SBI VCトレードが、SBI経済圏の一角にあるという点もポイントだ。仮想通貨だけでなく、投資信託やNISA、保険、銀行預金まで、資産形成の全体を一貫して設計できる環境が整っているため、複数のサービスを使い分ける煩雑さから解放され、「資産全体の最適化」を目指すユーザーにとって、大きな利便性がある。
<次なる資産分散の“定番”を見据えて>
変動性、不確実性、複雑性、曖昧性に満ちたVUCA時代において、資産形成における「分散」の重要性はますます高まっている。従来型のポートフォリオではリスクを十分にヘッジできない可能性がある中で、「仮想通貨」という選択肢は、多くの投資家にとって、理にかなった戦略といえる。
本稿で述べてきた通り、仮想通貨は「伝統的資産との値動きの非連動性」により市場が動揺した時にも資産全体を安定させる働きを持つ。分散投資という観点からは、短期でなく長期保有による賢い投資であるといえる。そう考えると、SBI VCトレードのような大きな安定的経済圏にある会社での運用は、仮想通貨を長期保有する投資家にとって魅力的な選択肢となるだろう。
変化の激しい時代において、資産を守り、さらに成長させるためには信頼性できるパートナーでの仮想通貨運用が、今後は多くの投資家にとって資産形成の“定番”として受け入れられるようになるだろう。
今回は、主要会社との比較を通して、SBI VCトレードの可能性について分析したが、もちろん、他にも魅力的な会社やサービスはある。ぜひこの機会に、自分に最適な投資方法を見つける上で、仮想通貨を分散投資の選択肢として検討してほしい。
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