<M&Aコンサルは「質」で選ぶ時代へ>スピカコンサルティングの完全業界特化型で叶える究極M&A
土居聖香(本誌ライター)
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日本では人口の減少と都市部への集中が進んでいる。地方の事業基盤は脆くなり、後継者不足も深刻化している。売り手に有利な労働市場が続くなか、若い人材が地方に定着しにくくなり、経営のバトンを渡す相手が見つからないという声も多く聞かれるようになった。
そのような状況下にある経営者の中には、「そろそろ引退を考えるべきか」「社員の雇用をどう守ればよいのか」「このまま廃業するしかないのか」といった迷いを抱く人も少なくない。とはいえ、安易な選択をすることで社員やお客様に迷惑をかけるようなことは避けたいと経営者であれば誰もが思うことだろう。こうした状況において、M&A(企業合併・買収)は経営判断として十分に検討すべき選択肢であり、M&A市場が活況というのも納得である。ただし、M&Aは経営者にとっては一度進めれば後戻りが難しい重大な意思決定となり、失敗は許されない。そのため、M&Aの成否を託すM&A仲介会社選びには細心の注意が必要となる。しかしながら、M&A仲介会社といえば、まさに玉石混交であり、比較検討せずにあとから後悔するようなケースも多く、誰に任せるかは丁寧に考える必要がある。
仲介会社を選ぶ際に、取引件数や知名度といった分かりやすい指標は一定の参考にはなる。しかし吸血型M&Aと呼ばれる悪質な買い手企業に対し、大手上場企業を含めて仲介していたのが実情だ。そのため、目先の良し悪しだけで決めず、「質と進め方」を見極める必要がある。
M&Aは関与する人や工程が多く、難しく複雑な判断が積み重なるプロセスとなっていて、関わる人間の理解度や経験値の差によって結果は大きく変わると言われている。中には成功報酬欲しさで悪質な買い手企業とのマッチングを仲介するブローカーもあるが、反対に、成約で終わらせず、準備段階から成約後までを支援するコンサルティング会社もある。しかし、自分の目の前にある仲介会社がそのいずれであるのかは、パッと見ではなかなかわからないのが現実だ。
そこで本誌では、盛り上がりを見せる我が国のM&A市場において、優良あるいはユニークな活動で実績を上げているM&A仲介に着目した取材を進めている。本稿では、現在のM&A市場の動向を解説しつつ、多種多様なM&A業界のなかでも成約だけにこだわらず、M&A前の企業価値向上から譲渡後の持続的な成長支援までを提供し、他社にない独自のサービスで顧客に寄り添うことで注目を集めているスピカコンサルティング(東京、代表取締役・中原駿男)の取り組みを取材した。
同社は一人一業種を専門とする業界に特化した体制を強みとし、顧客の未来を第一優先に考える姿勢を軸に高品質なサービスを展開していることでも知られる。
<M&A業界の実情とスピカコンサルティングの体制>
近年、M&A市場は拡大を続けているが、仲介会社の内情には大きな差がある。中小企業庁が管理するM&A支援機関の登録情報によると、専任の担当者が1〜2名という事業者が最も多く、全体の約50%を占める。次に多いのは専任者が0名の事業者であり、他の業務を兼ねながらM&Aを扱っていることがうかがえる。このような体制では、経営者が一度きりの大切な判断を経験の浅い担当者に委ねてしまう恐れがあるだろう。この辺りは仲介会社選びのポイントの一つだろう。
例えば、本稿で紹介するスピカコンサルティングでは、所属するコンサルタントの40%以上が業界経験4年以上である。もちろん、経験の浅いメンバーが関わる場合でも必ず経験者とバディを組む仕組みを整えている。この体制により、担当者ごとの経験差をならし、安定した支援を行うことができる点は安心だろう。
また、M&A仲介各社が兵隊採用を続ける中で、同社はカルチャーや価値観に重きを置いた採用を続けてきた。そのため、業界に貢献したいという創業の想いが薄れることなく色濃く続いており、きめ細かい対応を続けられている。こうした点が顧客の安心感につながり、他社との差別化になっているそうだ。コンサルティングの方針として、単に成約を目指すというビジネスライクなものはなく、むしろ「M&Aを通じて顧客企業の価値を高める」「業界全体に貢献する」という姿勢であり、この辺りの企業コンセプトが強みになっていると言えるだろう。
<創業の想いと企業姿勢>
スピカコンサルティングは、「M&Aを通じて顧客の業界に貢献したい」という理念を共有するメンバーが集まり、2022年に設立された新進のM&Aコンサルティング会社だ。
創業にあたり重視したのは、M&Aを前後に分断せず、顧客の成長を長期的に支えることであるという。例えば、従来型の仲介は、成約に至るまでのサポートに比重が置かれる傾向があったが、代表取締役の中原駿男氏は「成約後もフォローできることがまだある」と考える。そのため、M&A前の準備から成約後のフォローアップまで、一気通貫で伴走する体制を志向している。現場に入り込み、将来を見据えた伴走を続けることが、スピカコンサルティングの存在価値であると掲げている。この辺りは、利益重視になりがちなM&A業界では目を惹く特徴だろう。
もう一つ特筆すべきは、業界特化を強調している点だ。業界の歴史や商習慣を理解し、現場特有の事情に精通しなければ、適切な提案はできない。だが、表面的に「業界特化」をうたう事業者は多く、それがちゃんと実践できているか、と言われればその実態は怪しい。その現状に対し、同社は「業界への貢献」という理念に基づいて本気で取り組んでいる。
では実際に同社の強みについて特に魅力的な2点についてレポートしてみたい。
(写真:取材にご協力いただいた左から 山本夢人 取締役 、中原駿男 代表取締役 、松栄遥 取締役)
<強み①バリューアップ・コンサルティング>
スピカコンサルティングは、創業時からM&Aを前提にしない形で企業の価値を高める支援を行っている。いわば、企業が将来にわたり成長できるような仕組みづくりを重視している、ということだ。
具体的には、中期経営計画や経営方針の策定支援、新たな販路や協業先を探すビジネスマッチング、業務効率を高めるためのシステム導入、広報やマーケティングの強化といった取り組みを行っている。このように企業の基盤を根本から強化する支援をしている。
また、人事評価制度の設計や経営戦略の再構築といった、組織の根幹に関わるテーマについても並走している。こうした取り組みによって、企業は短期的な収益改善だけでなく、持続的な成長に向けた体制を整えることができる。その結果、経営者の納得感や社員の働きが高まるのである。
このような支援は、必ずしもM&A成約のためだけに行われているわけではないことは驚きだ。時には「今はM&Aを行わない方が良い」という結論に至る場合もあるという。もちろんその場合であっても、事前に整えた基盤は無駄になることはないと同社は考える。むしろ企業の体力を底上げする役割を果たすため、どのような道を選んでもクライアント企業の貢献につながるからだ。補足として付け加えるとすれば、創業2022年と若い企業にも関わらず、すでに国内時価総額トップ20の大手企業へのコンサルティング実績を有している。大企業の厳格なガバナンスや内部統制に関する知見を持ち、それを中堅・中小企業の実情に合わせて応用できる十分な能力を有するという証明でもある。こうした規模にとらわれない幅広い「現場感覚」と「統制の視点」を融合した支援が、より実効性のある提案につながっているのである。
<強み②M&A後のアフターフォロー>
中原氏はこれまでのキャリアで、成約によって取引が終わると顧客との関係も途切れてしまうということに疑問を抱いていたという。「M&Aの成功」は、成約後に会社や事業が発展を続けることであり、それを見届ける、もしくは手助けすることもM&Aコンサルタントのあるべき姿という考えだ。また経営者にとっては、譲渡を終えたあとにまとまった資産が手元に残るが、一方で、その使い方や運用方法に迷いを感じたり、「譲渡した後はどうすれば良いのか?」といった燃え尽き症候群に陥るケースも多い。
スピカコンサルティングはこの課題に対応するため、成約後のPMI(統合プロセス)を支援するコンサルティングサービスや、譲渡オーナーに向けた資産形成や運用に関する相談まで継続して支援する体制を整えた。特定の金融商品を勧めるのではなく、オーナーの価値観や将来設計に合った選択肢を整理し、必要に応じて外部の専門機関と連携により実現している。
特に力を入れているのが、「資産を社会に活かす」ための提案だ。地方・文化・次世代企業・環境・国際貢献など多様な分野で少なくとも15社規模の提携先を持ち、オーナーの希望に応じた提案を可能にしている。譲渡によって得た資産を次世代や社会全体へ循環させる支援は、単なる経済取引を超えた新しい価値を生み出している。
例えば、クラウドファンディングのREADYFORと連携して寄付や基金設立を支援している。さらに、Siiibo証券との協働によって資産運用の選択肢を広げ、SANUとの取り組みにより環境やライフスタイル分野への投資を可能にしている。文化面では、Amalgam Art GalleryやTRiCERAと連携し、アートや文化支援の機会を提供している。国際機関の国連UNHCR協会とも連携し、人道支援へ資産を活用できる道を開いている。
<強みを最大化させる完全業界特化型M&A>
スピカコンサルティングが、M&A前の企業価値向上支援からM&A後の資産形成サポートまでを切れ目なく提供できるのは、完全業界特化型の体制を持っているからである。
同社では、コンサルタントが一人ひとつの業種を専門として担当している。主要な対象となるのは、製造業、物流、調剤薬局、食品、LPガス(エネルギー)、美容といった分野であり、それぞれ中原氏(LPガス)、山本夢人取締役(物流)、松栄遥取締役(美容)、沖田大紀執行役員(調剤薬局)、藤川祐喜執行役員(製造)、渡邉智博執行役員(食品)が管掌役員を務めている。この仕組みにより、各コンサルタントは業界特有の商習慣やネットワーク、現場での具体的な運営方法を深く理解することができる。結果として、表面的な分析や数字合わせにとどまらず、現場に根ざした実効性のある提案を行えるようになっている。
業界に対する理解と愛着があるからこそ、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な発展を見据えた提案が可能になる。譲渡側には「社員の雇用や事業の理念を守りたい」という思いがあり、譲受側には「新しい成長機会を着実に実現したい」という期待がある。これら双方の意向を丁寧に調整し、未来につながるM&Aを実現するには、業界の背景を熟知していることが欠かせない。
経営コンサルタントとしての専門性と、M&Aの実務に精通した知見を兼ね備えることで、他にはない価値を生み出すことが創業の理念として強くこだわった点であり、新進の同社が早くも「オンリー1」として評価されている所以でもある。
<数値で裏づけられる成果>
M&A市場全体は拡大を続けているが、多くの企業は成長の鈍化に直面している。そのなかでスピカコンサルティングは、2023年度から2024年度にかけて340%、2024年度から2025年度にかけて181%を超える成長率を示している(※2025年度の成長率は見込み値)。盛り上がっている市場とはいえ、この成長率は尋常ではない。特に、M&Aは紹介や口コミによる影響が特に大きい事業であるため、少しでも不安な噂が出れば、瞬時に広がり、成長にはストップがかかる。つまり、この成長率の高さは顧客が実際に満足し、その評価が新たな依頼につながっていることを示していると言えるだろう。
もう一つ同社の評価を数値で見るとすれば、売上高である。コンサルタント一人当たりの売上高は5,650万円に到達しており、これは創業4期目にして業界第2位の水準である。例えば最大手と呼ばれる企業の一人当たりの売上高が約4,000万円であり、比較しても大きな差がある。この数値は、少数精鋭の体制でありながら、担当者一人ひとりが深く案件に関与し、高い付加価値を生み出していることを裏づけるものであろう。「顧客に真摯に向き合う姿勢が成長率や生産性に反映されている」という事実は、信頼性を示しているといえる。
今回の取材を通して痛感したことは、M&Aは、仲介会社や働くコンサルタントによって結果が大きく変わりうるということだ。企業売買ビジネスという印象が強いM&A業界の中で、成約したら終わりではなく、そこからが始まりだ、という理念こそ、信頼性を高め、成長率を加速させる重要なポイントであろう。M&A後の経営やオーナーの資産形成にも影響が及ぶため、誰がコンサルティングするかが企業の将来を左右する要因となる。
経営者が後悔を残さないためには、成約実績や規模といった分かりやすい指標だけに頼るのではなく、会社全体として質を追求しているかどうかを見極めることが大切である。そして、この質は、顧客の未来を考え抜く理念を持ち、それを日々の行動に反映できているかどうかに現れる。
業界に特化した知識を備え、一社ごとに深く関与し、M&A前から成約後までを一気通貫で支援できる存在は、経営者にとって心強い伴走者になるだろう。今後の日本は、M&Aなどによる業界再編は避けては通れない中で、表面的な理念だけでなく、業界最高水準の実績があるスピカコンサルティングの立ち位置には注目だ。
これからも本誌は新進気鋭の魅力的な企業取材し、レポートしてゆくので、楽しみにしてほしい。
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