<世界的投資銀行も認める仮想通貨>徹底比較で見えた本当に選ぶべき取引所とは

デジタル・IT

時田秀一(本誌ライター)

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世界的投資銀行として知られるモルガン・スタンレーが全顧客に対して仮想通貨ファンドへの投資を解禁したニュースが世界の金融業界を揺るがせている。これまでモルガン・スタンレーといえば、150万ドル=約2億3000万円の資産を持つ富裕層の、しかも積極的なリスクプロファイルを持つような顧客だけに限定していた。その仮想通貨投資を、すべての口座タイプで開放するのだという。

これはデジタルアセット市場が、伝統的金融の中心へと踏み込んだことを意味する。米大手投資銀行の中でも保守的とされてきた同社の方向転換は、仮想通貨がもはや「代替投資」ではなく、「新たな成長資産」として認識され始めたということでもあるだろう。

2020年12月に当時の最高値約300万円をつけたビットコインは、ちょうど5年後の現在、2025年10月9日に過去最高の1BTC=1882万円/を叩き出した。一時的な乱高下はあるものの、長期的に見れば、確実な値上がりと市場拡大が見込まれる。仮想通貨は、リスク資産からグローバル資産へと、その立ち位置が大きく変わりつつあるのだ。

資産を仮想通貨へと移動させる動きは、アジア圏でも急速に加速している。アスペン・デジタルの2024年のレポートによれば、アジアの富裕層の実に76%がすでに仮想通貨に投資しており、さらに18%が「今後投資を予定している」と回答している。つまり、アジアの富裕層のほぼ全員が、仮想通貨をポートフォリオに組み込む意向を示しているというわけだ。仮想通貨のリスク資産からグローバル資産へのシフトは、投機目的の一過性の流行ではない。グローバル規模での「資産の再定義」が進んでいるといえる。

いわば、仮想通貨は株式や不動産とは異なる「もうひとつの経済圏」として注目を集めているというわけだ。仮想通貨は企業の業績や市場サイクルといった制約を受ける株式投資に比べ、「テクノロジーと価値の進化そのもの」に投資する領域である。つまり、個別企業ではなく「未来の経済構造」に賭ける投資なのだ。そこに桁違いの成長ポテンシャルがある。

いまや、資産運用の主役は安定だけではなく拡張性を求める時代に変わった。特に円安の加速する日本では、現金資産は「持っているだけで目減りする資産」である。頼みのドルすらも、その価値の低下が危惧されている。そういった国際経済の現状を鑑み、10年後の世界を見据えるなら、従来の株式・債券・不動産といった伝統的資産に加え、異なる値動きを持ち、市場全体のボラティリティを和らげる効果を持つ仮想通貨をポートフォリオに組み入れることが理にかなっている。世界の富裕層や金融機関がすでに動き出している今こそ、仮想通貨を「持たないリスク」について真剣に考えるべき時なのだ。

<次の10年を担う3つの仮想通貨>

仮想通貨と聞くと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのはビットコイン(BTC)だろう。しかし、成長市場の全体像を俯瞰すると、主役はもはやビットコインだけではない。近年は、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)といった「実需に根ざした銘柄」も台頭し、それぞれ独自の進化を遂げている。ここでは、この3銘柄がなぜ長期的に注目され、今後の市場を牽引していくのかを整理していこう。

*1. ビットコイン(BTC)
仮想通貨の象徴であるビットコインは、希少価値性を持つ、世界初の非中央集権型デジタル通貨として、仮想通貨の代名詞的存在だ。仮想通貨市場全体の時価総額の約半分を占めており、デジタル・ゴールドとしての地位を確立した、いわば基軸通貨だ。その最大の特徴は「発行上限が2100万枚」という絶対的な希少性にある。各国で金融緩和により、法定通貨の価値が相対的に揺らぐ一方で、ビットコインは「インフレに強い資産」として存在感を増している。

*2. イーサリアム(ETH)
イーサリアムの特徴といえば、それが単なる「通貨」ではなく、次世代インターネットのプラットフォームとして進化してきたということだ。デジタルコンテンツの唯一無二性を保証するNFTを作る際に用いられる通貨としても知られる。イーサリアムのブロックチェーン上には、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムが稼働しており、NFTの取引の改ざんを防止する。これにより、デジタルコンテンツであるNFTに資産価値を与えることを実現させた。さまざまなデジタルコンテツへの応用の期待と合わせて急速に普及したのがイーサリアムだ。DeFi(分散型金融)やNFT、メタバースなど、Web3領域の基盤として不可欠な存在になっている。

*3. リップル(XRP)
リップル(XRP)は、国際送金の高速化・低コスト化を目的に開発された仮想通貨だ。既存の銀行間送金では数日かかる決済を、XRPのネットワーク「RippleNet」なら数秒で完了できる。こうした実用性の高さから、世界各国の金融機関が導入を進めている。チャート分析でもその成長は明確だ。2022年の下落局面を経て2023年には上昇に転じ、2024年末には急騰している。

BTC・ETH・XRPはいずれも異なる特徴と強みを持ち、それぞれが長期的な成長性を兼ね備えているプラットフォームになっている。BTCは「希少性による価値保存」、ETHは「テクノロジーによる拡張性」、XRPは「実用性による安定成長」という三本柱で構成され、互いを補完し合う関係にある。これからの10年を見据えるなら、単一銘柄に集中するよりも、この3銘柄を軸にした分散ポートフォリオこそが、最も戦略的で現実的な選択といえるだろう。

<取引所の選定基準>

実際に仮想通貨投資を始める際、最も重要なのは「どの取引所を選ぶか」だ。どんなに優れた投資戦略を立てても、取引所の信頼性や条件が低ければ資産運用は安定しない。ここでは、仮想通貨初心者が押さえておくべき3つの観点として「運用力」「手数料」「安心感」をあげ、国内仮想通貨取引所の上位3社であるbitFlyer(ビットフライヤー)、Coincheck(コインチェック)、SBI VCトレードの比較をしてみたい。

(1)運用力:ステーキング・レンディング

仮想通貨投資というと、多くの人は「安く買って、高く売る」という売買の差益ばかりをイメージしがちだ。しかし、まず注目すべきは、銀行にお金を預けておくと利息がつくのと同じように、「ただ持っているだけで資産が増える仕組み」が充実しているかどうかだ。専門用語では「ステーキング」や「レンディング」と呼ばれるが、ここで重要になるのが「対象となる銘柄数の多さ」や「年率」である。

なぜなら、投資の基本である「分散投資」には、「守り」と「攻め」の両面で大きな意味があるからだ。もし1つの通貨が下がっても資産全体のダメージを軽減できるという「守り」に加え、保有している複数の通貨のうち、どれか1つでも将来的に大きく成長すれば、それが資産全体を牽引してくれるという「攻め」のメリットも享受できる。 つまり、多くの銘柄を持っていれば、それだけ「将来の大化け銘柄」を引き当てる確率も高まり、安定と成長の両方を狙えるのだ。

この観点で、国内上位3社を比較してみよう。

・ステーキング
*SBI VCトレード:14銘柄
*bitFlyer:1銘柄
*Coincheck:1銘柄

・レンディング
*SBI VCトレード:34銘柄、最大年率20%
*bitFlyer:2銘柄、最大年率3.05%
*Coincheck:34銘柄、最大年率5%

ここの差はわかりやすく大きい。ステーキング銘柄数・レンディング年率が最大のSBI VCトレードと他社とでは銘柄数で14倍、レンディングの最大年率は4倍もの開きがある。リスクを抑えて「分散投資」をしつつ、待っている間も最高水準で資産が増える。この点においては、SBI VCトレード一択なのは疑いようがない。

(2)手数料

あらゆる投資に当てはまることだが、取引を重ねるほどに、一見微々たるものでも「手数料」は長期的な利益を大きな影響を及ぼす。1回あたりのコストは小さくても、長期的には複利を大きく削る要因になる。

具体的な手数料を上位3社で比較してみたい。

*bitFlyer 日本円入金手数料:無料〜330円、日本円出金手数料:220円~770円、仮想通貨送付手数料:仮想通貨ごとに異なる
*SBI VCトレード 日本円入金手数料:無料、日本円出金手数料:無料、仮想通貨送付手数料:無料
*Coincheck 日本円入金手数料:無料〜1018円、日本円出金手数料:407円、仮想通貨送付手数料:仮想通貨ごとに異なる

日本円の入出金・仮想通貨の送付手数料など、「各種手数料無料」になっているのは、SBI VCトレードのみである。仮想通貨のオンライン取引は「手数料無料」を標榜することが多いが、本当に全て「無料」である大手取引所は著者が知る限り、SBI VCトレードのみである。これは業界でも極めて稀な条件だ。余計なコストを気にせずにリバランスや積立を行えるため、投資家は運用効率を最大化できる。

(3)安心感

そもそも銀行選びと同様、金融取引のパートナーに求めるものは「安心感」であり、筆者が直感的に「安心感」を感じるのはSBI VCトレードである。その理由は母体であるSBIグループが、証券・銀行・保険など幅広い金融サービスを展開する国内有数のメガ金融グループであるからだ。20年以上にわたる厳格なセキュリティ基準とリスク管理のノウハウを、仮想通貨事業にも適用するなど、巨大金融グループとしての安定感が半端ない。ITベンチャー企業を母体とする取引所との最大の違いだろう。

<仮想通貨初心者の取引所の選び方>

国内取引所上位3社を対象に、「銘柄数」「手数料」「安心感」から仮想通貨初心者向けの取引所の選び方について考えてきたが、結論から言ってしまえば、「銘柄の多様さ」「手数料の安さ」「巨大金融グループの信頼性」の総合力3点から、SBI VCトレードが圧倒的に優位にあることがわかる。同社は、預かり資産5000億円を突破しているが、これは半年で2.5倍の成長を遂げているというから驚きだ。

仮想通貨を長期的に運用し、着実に資産を増やしていきたいと考える仮想通貨初心者にとっては、SBI VCトレードは最有力の選択肢といえるだろう。もちろん、本稿では、あくまでも大手3社を対象として「銘柄数」「手数料」「安心感」に基づいた比較評価をした。取引所は本稿で紹介したもの以外にも複数あるので、ぜひ、自分の投資スタイルにあった取引所を目指して各自調査をしていただきたい。

世界の金融市場が大きく転換期を迎える中、仮想通貨はもはや一時的なブームではなく、長期的に成長が見込まれる新しい資産クラスとして確立されつつある。特に、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・リップル(XRP)といった主要銘柄は、希少性・技術革新・実用性という異なる強みを持ち、次の10年を担う成長エンジンとなる可能性が高い。こうした銘柄をポートフォリオに組み込み、分散投資の一環として活用することが、資産の安定と拡大を両立させる鍵となる。

いま、世界中の投資家が「デジタル資産の時代」へと舵を切っている。未来を見据え、自分に合った取引所を選び、成長ポテンシャルの高い仮想通貨投資を検討していただければと思う。本誌では今後ともあらゆる角度から仮想通貨についてレポートしてゆく予定である。

 

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