<30代からの新資産形成術>少額積立で始める会社員のための仮想通貨投資とは

デジタル・IT

岡部遼太郎(ITライター)

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世界的な政情不安、終わりの見えない物資不足。不安定な世界経済は2025年後半に入った今もなお、めまぐるしく変化している。日々、金融をめぐる様々なニュースが絶え間なく流れ込み、私たちの経済活動を揺さぶる。特に仮想通貨をめぐる話題を目にしない日はない。

米国では大統領自らが仮想通貨を推進する姿勢を鮮明に打ち出すなど、世界規模で“お金の常識”も書き換えられつつある。円もドルも信用できない・・・という時代の到来の中で、新たな資産クラスとしての仮想通貨の影響力が日々、高まっている。かつてのギャンブル的な不安定さは近年の急速な投資環境の整備やサービスの多様化によって完全に払拭されている。それにもかかわらず、「仮想通貨はよくわからない」と開き直り、「ニュースでは見聞きしているが自分の生活には関係ない」と聞き流してしまおうとする人は少なくないだろう。

しかし、そんな開き直った自分とはうらはらに、現実の変化は早い。「自分ごと化」できないままでは、いつまで経っても経済の仕組みは理解できない。取り残され、いつのまにか浦島太郎状態になってしまっては手遅れだ。何を隠そう、私も読者とは大差のない状態だ。本誌のようなレポートを書く機会がなければ、永遠に現実を直視しようとは思わなかったからだ。

もちろん、書店で本を買い込み、仮想通貨やWeb3に関する解説を読み進めようとはしたものの、断片的な知識は頭に入っても、実際の経済の動きと結びつかず、理解は深まらなかった。結局は「自分には縁のないものだ」と開き直るしかなかった、というわけだ。

しかしながら、本誌の経済・金融レポートのための取材を通して、様々な知見を得ることができた。その時、多くの専門家に言われたことは「まずは少額でも良いので仮想通貨を購入して、現実を体験してみる」ということだ。ネットや本で断片的な知識を抱え込むよりは、まずはやってみることが理解への第一歩、ということだ。今では500円から仮想通貨投資ができるサービスも登場しているからだ。

実際に、少額でも仮想通貨を購入してみると、その意味がよくわかる。通常の株式や投資信託のようなものとは感覚が全く異なるからだ。価格の上げ下げに一喜一憂する中で、「なぜ今日は値が動いたのか」「このニュースがどのように影響するのか」と経済について考えるようにもなった。経済記事を読む視線が変わり、抽象的だった情報が、自分の財布に直結するものとして迫ってきた。単なる知識ではなく、体験を通して理解することこそが本当の学びであると実感した。

どれほど机上で勉強しても“実感”が伴わなければ知識は身につかない。仮想通貨はその傾向が非常に強い。自らの資金をほんの少額でも投じれば、仮想通貨が遠い世界の話ではなく、日常と直結しているという認識を否が応にも与えてくれるのである。仮想通貨への少額投資は「お金の仕組みを学ぶための最短ルート」であるということを痛感した。

以下に、筆者自身が経験した少額投資について紹介するので、「頭でっかち」になってしまいまだ行動に移せていない方はぜひ、参考にしてほしい。

<少額投資がもたらした視点の変化と学び>

少額で仮想通貨を購入してからの最大の変化は、生活のあらゆる出来事が「お金の動き」と結びついて見えるようになったことである。以前なら円安や金利引き上げといったニュースを聞いても、「景気が悪くなるのか」といった漠然とした理解に留まっていた。しかし、自分の資産の一部が市場と直結していると、その情報が「資産価格にどう影響するのか」を自然に考えるようになった。これは大きな心理的な変化である。

たとえば朝のニュースで「米国の政策金利が上がった」と耳にすると、為替だけでなく仮想通貨の値動きにもどう作用するかを想像するようになった。移動時間にスマートフォンで実際の値を確認し、帰宅後には解説記事を読み比べる。この流れは、机に向かって本を読むのではなく、日常生活そのものを「経済の実地訓練」へと変えてくれる。

その意味では、少額投資は「学習コスト」の面でも優れていると言える。本やセミナーに費用をかける代わりに、同じ金額を少額投資に回す方が効率的であるからだ。資金を動かすこと自体が教材となり、その結果は常に数字として返ってくる。投じた金額が最も具体的でわかりやすいフィードバックを与えてくれるのだ。その過程で、小難しい専門書を読むよりもはるかにリアルに、仮想通貨を抽象的な概念としてではなく、日常に息づく現実の現象として捉えられるようにもなった。この視点の転換は、筆者にとって何より大きな収穫と感じた。

<手数料・積立・ステーキングで比較する三大取引所>

仮想通貨の少額投資を始めようとする初心者にとって最初の関門は取引所探しだろう。筆者も例外ではなく、取引所探しが最初のハードルであった。

そこで筆者はまず、名前を知っていた三つの取引所で口座を開設してみた。SBI VCトレード、Coincheck、そしてbitbankである。いわゆるよく目にする「有名取引所」「人気口座」というやつだ。仮想通貨をやっていなくても、CMなどで名前くらいは目にしたことがあるかもしれない。

初心者の取引所選びで重要なことは、イメージや先入観、いっときのキャンペーンなどで決めてしまわない、ということだ。実際に使ってみることで初めて、取引所によって条件などが大きく異なることがわかった。筆者の場合は、人気3社を比較して、絞り込みをした。結論から書いてしまうが、筆者は最終的に「SBI VCトレード」を選択した。これは「最も自分に合っていた」ということであり、人によってその評価は様々だろう。

*少額からの積立投資*

SBI VCトレードが自分に合うと思った最大の理由は、少額から定期の積立投資ができることである。この部分は、仮想通貨初心者にとっては最大のチェックポイントである。これまでの投資とは感覚も概念も異なる仮想通貨にチャレンジする場合、まずはそれ自体を体感=勉強することが重要だ。勉強期間に大きなリスクを負ってしまうと、勉強にならない。まずは、勉強と割り切って挑戦できる少額での投資、特に、専門的な知識をもっていない人でも安心して試すことのできる少額積立から始めるべきであると考えたためだ。

投資初心者にとって最大の悩みは「購入のタイミング」である。筆者も、いつ買ったらよいのか、損してしまうタイミングで買ってしまわないか不安だった。おそらく全ての仮想通貨初心者が持つだろう不安を避けるためには、定期積立から始めることがベターだ。毎回同じ金額を購入する仕組みにより、高値では少なく、安値では多く買えるため、自然にリスク分散が働く。いわゆる投資手法であるドルコスト平均法(一定額で、定期的に購入する方法)が自然に働き、価格変動のリスクを抑えながら、無理なく資産形成を続けることができる。

さて、SBI VCトレード、Coincheck、bitbankの3社比較では、この少額定期積立のような「初心者にとって必須手法」と思われるものですら、バラバラであることに驚かされた。まず、bitbankには積立機能がない。これには少々驚かされた。言い換えれば、初心者を顧客層として想定しないのかもしれない。そして、Coincheckであるが、ここは積立は可能だが最低金額は月1万円からである。「勉強代」と考えるとなかなかの金額で、気軽に始めるにはハードルが高い印象だ。これに対して私がメイン口座として選択することになった、SBI VCトレードでは500円から積立を設定できる。いわゆるワンコイン投資が仮想通貨でも可能なのだ。ビビりな初心者にとって、ワンコイン投資のプライオリティは極めて高い。

*各種手数料無料*

次にチェックポイントは、手数料だ。せっかく資産を増やしても、入出金や取引のたびに手数料を引かれてしまっては、成果が減ってしてしまう。また、よくわからないが、細々と引かれる手数料などは取引を続けてゆくとボディブローのように効いてくる。この感覚は実際にやってみないと絶対にわからない。

効率よく資産を増やしたいと考える以上、このコストの差は無視できない。実際に比較してみると、Coincheckでは銀行振込手数料や取引手数料が発生し、bitbankでは日本円出金時に最低550円が必要となる。そもそも手数料という概念自体が、初心者に心理的障壁が高い。それに対して、SBI VCトレードでは入金・取引・出金のいずれも手数料が無料だ。初心者にとってはワンコイン投資が現実味を帯びているので、手数料無料はいうまでもなくマスト要件といっても良い。少額投資で、550円も手数料を取られては、意味がない。

*ステーキングのサービス*

仮想通貨の投資で意外と見落とされているのが、「ステーキング」だ。あまり聞きなれない言葉だが、実は、取引所選びの核となる重要なサービスだ。ステーキングとは、簡単に言えば仮想通貨版の「定期預金」のような仕組みだ。銀行であれば預けたお金に利息がつくが、同じように、特定の仮想通貨を保有しているだけで、その仮想通貨の利息を報酬として受け取ることができるというものだ。つまり、保有しているだけで残高が増えるサービスがステーキングだ。

これも主要3社での比較をしてみた。

まず、bitbankにはステーキングサービス自体が存在しなかった。ステーキングは必ずしも全ての主要な取引所で提供されているわけではないらしい。次にCoincheckだが、ステーキングを提供していた。しかし、ステーキング可能な銘柄がわずか1銘柄。ないよりはマシだが、これはさすがに残念だ。しかも、利用するには申込みが必要である点もなんとも腰が重くなる仕組みだ。さらにロックアップ期間と呼ばれる資産を一定期間引き出せない制約期間もある。つまり、Coincheckにはステーキングサービスはあるものの、制約が多く、非常に使いづらい、ということなのだ。特にロックアップ期間の設定は、万が一暴落した際に資金を引き出すことができないため、リスクが伴う。初心者にはまったく向かないサービスだ。

それに対して、SBI VCトレードはステーキング可能な上に、取り扱い数も14銘柄と多かった。これぐらいの選択肢があれば、素人の狭い了見でも選ぶことができるだろう。しかも申込みも不要で、対象銘柄を保有さえしていれば自動的にステーキングが適用されるので、初心者に優しい設計だ。ちなみに筆者は、身に覚えのない残高の増加があり、その時に初めてステーキングの存在を知ったぐらいだ。さらにはロックアップ期間もなく、資産を縛られる心配もない。

以上を踏まえると、bitbank:ステーキングなし、Coincheck:1銘柄+ロックアップ期間あり、SBI VCトレード:14銘柄+ロックアップ期間なし・・・とSBI VCトレードが非常に初心者にとっては魅力的な取引所であることを痛感した。

ここまで書いてきたが、2018年に起きたハッキング事件以来、「暗号資産投資は怖い」と感じ、なかなか一歩を踏み出せない30代・40代の方は少なくないだろう。筆者も、かつてはその一人だった。自身のお金を投資するからには、安心して取引したいもの。そこで、単に「年率が高い」といった数字だけでなく、「信頼できるかどうか」という基準も重要だ。そういった観点からも、SBI VCトレードは、金融大手であるSBIグループの厳格なセキュリティとリスク管理体制を引き継いでいるため、IT企業系の取引所と比べても高い安全性を感じ、安心して取引を始めることができた。暗号資産への投資を検討する際は、自身で取引所のセキュリティ体制をしっかりと確認することが大切だ。

<少額から広がる学びと投資の新しい習慣>

実際に複数の取引所で少額の仮想通貨購入を試し、もろもろ比較検討をした結果、分かったことは、仮想通貨投資は「まずは少額から積立で始めてみること」が最も現実的で賢明な方法である、ということだ。机上の知識を積み上げるよりも、実際に資金を動かすことで得られる理解の方がはるかに深く、確かな実感を伴う。

筆者は仮想通貨初心者として、自分にはSBI VCトレードが最も適していると感じ、最終的なパートナーとして選び、今も愛用している。SBI VCトレードであれば、日常生活の延長で無理なく取り組める設計になっているだけでなく、手数料無料や少額積立、ステーキング可能といった組み合わせで、始めやすさと続けやすさを兼ね備えた取引環境だと思えたからだ。

世の中の変化に取り残されないためには、行動を起こすことが肝心であろう。まずは少額からでも構わない。自分に合う取引所を選び、投資を日常の習慣へと変えていくことが、将来の不安を払拭する第一歩となるだろう。

今後も話題の仮想通貨サービスについて、筆者が調査し、紹介してゆくので、本誌をご期待ください。

 

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